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引っ込み思案な18歳、パラ競泳で急成長…強豪選手と競う世界大会で自己ベスト連発

読売新聞 / 2024年8月22日 15時5分

3月のパリ・パラリンピック日本代表選考会で力強い泳ぎを見せる木下あいら=古厩正樹撮影

[エース出陣 パラ編]<5>競泳女子 木下あいら 18(三菱商事)

 28日にパリ・パラリンピックが開幕する。日本選手は海外開催の大会では史上最多176選手が舞台に立つ。大きな飛躍が期待されているのがパラリンピック初出場の選手たちだ。

「平」安定 200メドレー進化

 パラ競泳に注力してから日の浅い高校生スイマーが、早くもエースとしての期待を集めている。昨年の世界選手権(英マンチェスター)の女子200メートル個人メドレー(知的障害)で銀メダルと急成長を遂げ、パラリンピック初陣となるパリで目指すのは「自己ベストを更新して金メダルを獲得すること」。自信もありそうだ。

 有望選手を発掘する国の「ジャパン・ライジング・スター(J―STAR)・プロジェクト」に応募したことをきっかけにパラ競泳に本格参戦。まだ2年ほどだが、水の抵抗を受けにくいフォームを武器に次々と記録を塗り替えてきた。

 初の国際舞台となった2022年秋の知的障害の総合大会(豪州)では200メートル個人メドレーと200メートル自由形でアジア新記録をマークし、100メートル平泳ぎを含む3種目を制覇。翌年の世界選手権の200メートル個人メドレーはトップの英国選手とタッチ差の2位でアジア記録も更新した。同年秋のアジアパラ競技大会(中国・杭州)では金メダル3個を獲得。「日本でなかなか自己ベストが出なくて海外でしか出せていないな」と苦笑するものの、強豪選手が集う世界大会で物おじせず力を発揮できるところは強みの一つだろう。

 平泳ぎの進化が躍進を支えている。水中に潜りすぎて上下動が激しかったフォームを水平な動きに近づけたことで体重移動が滑らかになった。キックの推進力も増し、個人メドレーでの平泳ぎのラップタイムは2秒ほど短縮。従来は苦手と語っていた泳法だが、今は「ちょっとだけ安定してきたかな」と、元々得意な自由形に続く武器の一つに変わりつつある。

 引っ込み思案な面もあるが、水泳に関しては強いこだわりが見える。世界選手権で銀メダルを手にした後も「次は一番良い色のメダルを取る」と語り、今年の国内大会で視覚障害があり、健常のトップクラスでも活躍する石原愛依(auFG)に完敗した際は「争えるくらい速くなりたい」と負けん気を漂わせた。

 普段は大阪・四條畷学園高の水泳部で健常の選手と泳いで腕を磨いている。本格的な体作りはまだこれからで、今後の伸びしろも大きい。可能性が詰まった新星は、開幕が1週間後に迫ったパリ・パラリンピックでどんな泳ぎを見せてくれるだろうか。(森井智史、おわり)

きのした・あいら 2006年8月11日生まれ。大阪府出身。大阪・四條畷学園高3年。2歳頃から水泳を始めたが、本格的に競技会に出場するようになったのは高校に進学してから。昨年のアジアパラ競技大会(中国・杭州)では、金3、銀2の計5個のメダルを獲得した。憧れの選手にパリ五輪日本代表の池江璃花子を挙げる。

[世界のライバル]19歳マスキル 世界ランク1位

 木下の主戦場となる200メートル個人メドレーは、昨年の世界選手権を制したベサニー・ファース(英)が第1子を出産し不在。それでも、英国代表は若手が台頭しており、19歳のポピー・マスキルが2分24秒12の好記録で今年の世界ランキングで1位に立つ。木下は2分25秒92で同4位につけているが、自己ベストは2分24秒32。パラリンピック本番は接戦の展開が予想される。

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