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三池炭鉱支えた囚人たちの物語、熊本のNPO代表が自費出版…「関心を持ってほしい」

読売新聞 / 2024年8月22日 17時1分

三池集治監を題材にした本を手にする手嶋さん(右)と谷本教育長

大牟田市教委に60冊寄贈

 熊本県合志市の「NPO法人種 く人」代表の手嶋敬さん(78)が、福岡県大牟田市の三池炭鉱宮原坑で採炭作業に従事させられた囚人の収監施設「三池 集治監 しゅうちかん」をテーマにした本「三池集治監の赤い月」を自費出版した。「集治監は石炭産業の発展と深い関係があり、子どもたちに関心を持ってほしい」と、大牟田市教育委員会に約60冊を寄贈した。(柿本高志)

 集治監は現在の刑務所に当たり、明治時代に国策で設置された。北海道の集治監では、囚人たちが道路整備などの開拓に従事させられた。

 大牟田市石炭産業科学館によると、三池集治監の収容人数は1897年(明治30年)に最多の2166人に上った。三池炭鉱での採炭作業は官営時代に始まり、炭鉱が三井に払い下げられた後も引き継がれ、1931年まで続いた。跡地に立つ三池工業高の敷地内には、高さ5~6メートル、長さ約600メートルの集治監の外塀が残っており、福岡県の有形文化財に指定されている。

 手嶋さんは出版社で働いた後、医療廃棄物の処理会社を経営。70歳の時にNPO法人を設立し、医療廃棄物の適正処理コンサルタントや子ども食堂の支援などに取り組んでいる。

 「三池集治監の赤い月」は、三池工業高に入学することになった少年がタイムスリップし、炭鉱や集治監の歴史を知るというストーリー。少年は、赤い服を着た囚人たちが塀の中に入っていく場面に出くわしたり、西南戦争で捕らえられた薩摩軍の兵士の母親から、「息子に渡してほしい」と赤く輝く 勾玉 まがたまを託されたりする。

 本には、三池炭鉱万田坑(荒尾市)で、機械化以前に石炭の運搬に使われていた小型の対州馬を題材にした「対州馬物語」(2021年出版)も収められている。

 寄贈を受けた谷本理佐教育長は「二つの物語から、産業革命には多くの労働力と馬の支えがあったことがわかる。子どもたちに読んでもらいたい」と話した。市教委は、小中学校と特別支援学校の計28校に本を配った。

 税込み2000円で販売している。問い合わせは手嶋さん(090・8351・9592)へ。

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