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地方に広がるAKBの力、名産・景観・地元愛をうたう「都会じゃなくてもアイドル出来る」

読売新聞 / 2024年8月24日 15時5分

 AKB48のアイドル力は地方にも拡散した。名古屋のSKE48、大阪のNMB48、福岡のHKT48に続いて誕生した姉妹グループは、新潟のNGT48と瀬戸内7県(兵庫、岡山、広島、山口、愛媛、香川、徳島)を拠点とするSTU48だ。両グループは地域を元気づけようと頑張っている。(編集委員・祐成秀樹)

新潟に生まれたNGT、ざわつく地元

 「きょうは連載させていただいている『スタンダード新潟』さんの発売日です」「きのうはトキ鉄さんの一日車掌を務めさせていただきました」。「スタンダード新潟」は地元のスポーツ誌、トキ鉄とは「えちごトキめき鉄道」のこと。新潟市の専用劇場で開かれたNGT48のライブでは、トークや歌から新潟との絆の強さと愛が感じられるのが楽しい。終盤に披露した「Maxとき315号」では「美しいあの街」「あなたと一緒に歩きたい」などと新潟への思いをさわやかに歌った。

 NGT48は国内5番目の姉妹グループだ。2015年の発足に合わせてAKB48から北原里英さんと柏木由紀さんも参加した。人口100万以下の都市への国民的アイドルの進出に、地元の若者はざわついた。

 NGT48のキャプテン・藤崎 未夢 (みゆ)さん(23)もその一人だった。「48グループはテレビの中の存在。アイドルになりたいと思ったことはなかったですが、地元に出来るのならばチャンスがあるかもと思いました」

 ただ、1期生オーディションには不合格。地域密着を掲げるNGT48をファンとして応援するうちに「良さが分からなかった」故郷への思いが変化する。「憧れが地元にあるとうれしい。新潟はいい所だと思うようになりました」

「部活」で農業やグルメ密着

 念願かなって18年にメンバーに。22年にはキャプテンになった。今、楽しんでいるのは「部活動」だ。NGT48はテレビ局や企業と組んで、農業部やゴルフ部、らーめん部、信越そば部などの部活動を行い、地域の魅力を発信してきた。藤崎さんはスイーツ部では、こんな活動を。「新潟の名産を使い、どんなこだわりを持ってスイーツを提供しているかを根掘り葉掘り聞いています」。農業部が育てたコシヒカリは「ときむすめ」として販売されている。「農作業のありがたみや、私たちが手がけたものを食べていただけるうれしさを感じました」

原点回帰で若手底上げ

 グループはトキ鉄の駅をメンバーがもり立てる推し駅プロジェクトや、佐渡観光応援公式サポーターでも活躍。今月26日に開かれる柏崎市の海の大花火大会では応援サポーターを務める。「新潟にはディズニーランドのような有名な観光地はないと思っていましたが、海や山のなにげない風景がすごくきれい。多くの人に知っていただくことにやりがいを感じます」

 今NGT48の人数は48グループで最少の29人。人気者の中井りかさん、本間日陽さんが卒業した一方、経験の少ない3、4期生が7割以上も占める。今年2月に就任したグループ運営会社Floraの石和樹社長(43)は、課題として「原点回帰と底上げ、グループの顔となるメンバーの育成」を挙げる。「新潟に根付いた活動をしっかりやりたい。ただ、メンバーが新潟に認知されないとアクションは起こせない。若手を底上げして顔と名前を覚えてもらえるよう積極的に出向きたいです」

瀬戸内のSTU、7年の歩みを込めた曲

 STU48は2017年に誕生。6月に結成7年にして初アルバム「懐かしい明日」(キング)を出した。「歴史を感じられました」と副キャプテンの福田朱里(あかり)さん(25)。「STU48初心者に聞いてほしい」のは最初のシングル「暗闇」だ。当時は親元を初めて離れて寂しげなメンバーが多かった。「そんな時に、いただいたふるさとを思う曲。寄り添ってくれますよ」

7県が「劇場」、活発な課外ユニット

 STU48には専用劇場がない。以前は瀬戸内を巡る船上劇場で公演していたが、コロナ禍で活動が止まると維持が困難になった。今は広島を始め瀬戸内各地の会場で公演を開いている。「専用劇場への憧れはあります。でも瀬戸内7県での活動が基本概念なので、どこかの県に作るのは難しいでしょう」

 一方で四つの課外活動ユニットが活発だ。香川県出身の福田さんはその中の「勝手に!四国観光大使」の一員だ。四国4県を巡るライブツアーなどで各地を盛り上げたり、四国の魅力を伝えたりする活動を重ねて、今年3月に四国運輸局に本物の「四国観光大使」に任命された。「ようやく活動が実を結びました」

 頑張る理由は、身近にアイドルがいなかった香川に寂しさを感じていたから。「アイドルの潜在能力を持っていても選択肢がない。STU48がそういう子たちのきっかけになれば」

 当面の目標は来年東京で行う8周年記念公演を完売にすることだが、ゴールでない。「私たちは東京にいないからこそ価値がある。都会じゃなくてもアイドルが活動出来る場所が、こんなにあるんだよと伝えていきたいと思っています」

ご当地アイドル、個性競って2500組

 日本ご当地アイドル活性協会によると、今年7月3日現在の女性のご当地アイドルは2501組。同協会が設立された2012年は282組。右肩上がりで増え続けて8倍以上になった。

 同協会の金子正男代表(49)によると、起爆剤になったのはAKB48が11、12年に「レコード大賞」を連覇したこと、岩手と東京を舞台にアイドルを目指す少女が奮闘するNHK連続テレビ小説「あまちゃん」がヒットしたことを挙げる。「アイドルが市民権を得て、自治体がアイドルを地域活性化に生かそうと考えるようになった」

 大阪495組、愛知385組、福岡212組と、AKB48の姉妹グループが拠点を置く3府県がベスト3を占めている。「地元のスーパースターに憧れるのでしょう」と金子代表。

 同協会が定期発表する「未発掘アイドルセレクト10」を見るとそれぞれ個性的だ。例えば、青森県八戸市のpacchi(パッチ)は「日本一朝早く会えるアイドル」で日曜7時半から朝市でライブを開く。札幌のambitious(アンビシャス)はサウナの宴会場でのライブと熱波師もやる「サウナ室で会えるアイドル」なのだという。(年齢、肩書は7月9日現在)

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