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世界を目指すKLP48、AKB「妹」アジアに7グループ…「K―POPアイドルしのいで中心に」

読売新聞 / 2024年8月26日 15時5分

お披露目記者会見で「会いたかった」を日本語で歌うKLP48

 AKB48のアイドル力はアジア各地に拡散している。インドネシア、タイ、フィリピン、中国、台湾を拠点とする姉妹グループが人気を集める中、この夏にはマレーシアの首都クアラルンプールにKLP48が誕生した。現地の「熱」を感じてきた。(編集委員・祐成秀樹=写真も)

クアラルンプールでお披露目「KLP48」

 「KLP48は国際的なステージを視野に入れています」。7月27日、クアラルンプールで開かれたお披露目記者会見には、テレビや新聞など22媒体が出席。グループの運営会社のディレクター・ 葉俊輝 (イップジュンフェイ)さん(50)が宣言した。

 AKB48は2005年に結成。09年に初の選抜総選挙、初の日本武道館公演を行った。彼女たちが急速に注目度を高めた頃、葉さんは日本に住んでいた。「あちこちでAKB48のことを聞いた。メンバーが夢をかなえようと頑張る姿には感動しました」

 そんな「熱」が世を覆った10年1月、本紙は「AKB48海外版が誕生?」と、総合プロデューサーの秋元康さんの元に海外からグループのノウハウ購入の打診が相次いでいることを報じた。

2011年に第1号「JKT48」誕生

 翌年はインドネシアのジャカルタにJKT48が誕生という記事が載る。翻訳した秋元さんの歌詞を歌い、専用劇場に「会いに行ける」、第1号の海外姉妹グループが動き出したのだ。

 以後もオファーは続き、今や六つの国と地域で7グループが活動している。K―POP人気が高いアジア各国で独自のジャンルを築いた印象だ。「私たちのグループは韓国のアーティストのように完璧に出来上がっていない。全員が歌やダンスが上手ではありませんが、色んな個性を集めています。ファンの方は可能性や伸び代を楽しみにしているのでしょう」とAKB48海外グループ総合プロデューサーの寺田 成昇 (なりあき)さん(53)。

コンサートのチケットが数分で完売

 近年はJKT48が「第2の黄金期」とも言える人気だ。コロナ禍を経て、ファンとの交流にデジタル技術を取り入れたり、各地に「会いに行く」活動を展開したりと変革を進めた結果、人気が格段に伸びたのだ。5000人規模のコンサートのチケットが数分で完売、国を代表する企業や団体などの協賛を得るといった朗報が続いている。

 今回のKLP48の誕生は隣国の熱気を反映したものでもある。「マレーシアでは48グループ、特にJKT48のファンが多い。『なぜ、48グループがないんだ』と待っている人が多かったんですよ」と葉さん。

 日本のような「アイドル文化」がない国だけにオーディションも注目され、約3000人の応募があった。「小さい頃から歌やダンスが大好き。チャンスがあればいいなとずっと思っていました」とメンバーのイーシャンさん(20)。

年齢も言語も多様な13人が1期生

 新グループの1期生は13人。マレーシア人7人、AKB48とSTU48から移籍した日本人4人と元JKT48のインドネシア人、香港人が1人ずつ。多民族国家のマレーシアらしく多様性と国際性に富む。彼女らが目指すのは「世界」だ。

 「マレーシア人の多くは複数言語を話す。メンバーが色んな言語を話せる環境は国際的に活動する上で有利」と葉さん。「マレーシアの皆さんに夢や希望を提供し続ける存在を目指せば、必然的に東南アジアはもちろん、世界中の皆さんに元気を提供できる存在にもなれる。最年少は14歳。年齢も言語も多様だからこそ、K―POPアイドルをしのぎ、日本固有のアイドル文化を世界の中心に押し上げられると考えています」

日本語で「会いたかった」熱唱

 この日、1期生13人は様々なチャレンジをした。記者会見で披露したのはAKB48のメジャーデビュー曲「会いたかった」。多くのメンバーにとって、不慣れな日本語での歌唱だ。元STU48の甲斐 心愛 (ここあ)さん(20)は感慨深げ。「私たちが日本語を教えたことをきっかけに、お互いの言葉を教え合ったので会話が増えた。グローバルな活動をしていることを実感しました」

 夜はショッピングモール「ららぽーと」の「盆踊り」の一環で開かれたAKB48のミニライブにサプライズ参加した。出演したAKB48メンバーは岩立沙穂さん、坂川陽香さん、高橋彩音さんら6人。現地での48グループの人気を裏付けるように、屋上のイベントスペースはぎっしり埋まり、1曲目「ポニーテールとシュシュ」のイントロが流れると「MIX」というおなじみのかけ声が起きた。

 ライブの終盤に「KLP48のメンバーが来てくれています」と紹介されると「ウォーッ」と大歓声。1期生が元気にあいさつをした。

 その後は8月18日のデビューライブのチラシ配り。ただ、笑顔で呼びかけても通り過ぎる人は少なくない。その姿は、結成直後、専用劇場に客が入らなかった頃のAKB48のよう。1期生が街頭でチラシ配りをしたという「伝説」を思い出した。「1期生はすごく重要です。彼女たちが頑張ってローカルで人気が出れば、グループの特色も出て、2、3期生に地元の子の応募が増えるようになる」と寺田さん。多民族の13人はどんな伝説を作るのだろうか。

日本人4人が移籍「チャレンジ」

 日本人メンバーの甲斐さんと元AKB48の 行天 (ぎょうてん)優莉奈さん(25)、黒須遥香さん(23)、山根涼羽さん(24)は希望して移籍した。「AKB48で活動して10年。そのタイミングで培ってきたものを試したいと思った」と行天さん。「20歳になって、自分を振り返る時間を持った時、運命のようにKLP48の記事を見ました」と甲斐さん。

 山根さんと黒須さんは「1期生」に憧れた。「グループを始める経験はなかなかできない。チャレンジしたいと思ってここに来ました」と黒須さん。

 抱く夢は様々だ。山根さんは「AKB48で活動する中でファンが一番大事だと学んできた。KLP48もファンを一番大切にするグループにしたい」と話す。他の3人は「世界」に目を向ける。甲斐さんは「色んな国から来たメンバーが混ざりあっているグループなのだから色んな国に遊びに行って、その様子をマレーシアで応援してもらえるようになれれば」、黒須さんは「マレーシアに来て色んな人を受け入れる寛大さを感じた。この国の良さを世界に届けられるグループになりたいです」と目を輝かす。

 行天さんの夢は大きい。「海外の色んなフェスやイベントに行って知名度を高めたい。屋外の広告がKLP48一色に染まるぐらいになればうれしいですね」

 ちなみにイーシャンさんの夢は音楽について。「私たちの音楽を全世界に届けたい。後で聞いた時にその時の記憶を思い出してくれたらうれしいです」

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