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アステラス製薬社員を中国が「スパイ罪」で起訴…挙国体制で進める摘発に外交筋「不安感は強まる一方」

読売新聞 / 2024年8月22日 21時21分

中国の国旗

 【北京=川瀬大介】アステラス製薬社員の日本人男性が中国の検察当局に起訴された問題を巡り、中国外務省の 毛寧 マオニン副報道局長は22日の記者会見で、男性が「スパイ罪」で起訴されたと明らかにした。中国は挙国体制でスパイ摘発を進めており、反スパイの動きは一層強まる見通しだ。

 毛氏は「日本側が自国民に対し、中国の法律や法規を順守し、中国内で犯罪に関わらないよう教育するよう望む」と述べた。「中国は法治国家だ」と強調したが、起訴内容の詳細は明らかにしなかった。刑法に基づくスパイ罪は最高刑が死刑となる。

 男性は50歳代で、中国に進出する日系企業で構成する経済団体「中国日本商会」の副会長を務めたベテラン駐在員だった。昨年3月の帰国直前に反スパイ法違反の疑いで拘束された。日本政府関係者によると、2015年以降に拘束された日本人のうち逮捕・起訴後に解放されたケースはなく、男性の拘束は長期化するとみられる。

習近平 シージンピン 国家主席は7月に開かれた共産党の重要会議「第20期中央委員会第3回総会(3中総会)」の決定について、「国家安全の維持をより突出した位置に据えた」と説明した。習氏と近い情報機関トップの 陳一新 チェンイーシン国家安全相は3中総会後の会議で「隠れた戦線の戦闘力を高めなければならない」と述べ、スパイ摘発を強化する方針を示した。

 国家安全省はこれまで国民の多くが利用するSNS「微信(ウィーチャット)」で繰り返しスパイ行為の通報を呼びかけてきた。同省は7月、観光都市のタクシー運転手が温泉探査に来たという外国人らが怪しい調査をしているとして通報した事例を紹介した。17年に日本人6人が温泉開発の地質調査のために訪れた中国内で拘束された事案を題材にしたとみられる。

 同省はスパイ行為を通報した人の貢献度に応じて奨励金を出す。「国家の安全」をテーマにした思想教育も行い、スパイ摘発や協力者のあぶり出しに力を注いでいる。ただ、どういった行為が違法にあたるかは不透明で、北京の外交筋は「中国と関わる外国人の不安感は強まる一方だ」と指摘している。

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