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博士の就職支援を強化、政府が企業向けに手引作成へ…採用ゼロの企業が76・6%

読売新聞 / 2024年8月23日 5時0分

 政府は、博士号を取得した専門人材の就職支援に本格的に乗り出す。日本では、企業は博士号取得者の活用に消極的で、欧米の先進国などと比べて取得者の人数も少ない。政府はイノベーション(技術革新)に欠かせない人材として企業が採用しやすい環境を整え、産業競争力の強化につなげる。

 経済産業省と文部科学省が26日、初めての合同検討会を開く。委員長には川端和重・新潟大副学長が就き、日立製作所やサイバーエージェントなど博士人材を積極採用する企業の人事担当者や、大学、経済界の関係者らが委員を務める。就職支援の取り組みや課題を検討し、来年3月に手引をまとめる方針だ。

 手引では、博士人材の年齢や研究実績に見合った賃金体系の実例を紹介し、職務内容を明確にする「ジョブ型雇用」など柔軟な採用制度の導入を提案する。大学側には、博士人材に特化した就職相談員の配置や、博士課程への社会人の積極的な受け入れを要請する。

 政府が対策に乗り出すのは、日本では企業が博士人材を生かせていないからだ。経産省の2020年の調査では、博士人材の採用がゼロの企業は76・6%に上った。

 日本企業は新卒一括採用が主流で、博士人材の採用経験に乏しいうえ、指導教授の紹介などで採用するケースが多く、企業側と学生の「ミスマッチが生じやすい」とされる。企業などへの就職率は約4割にとどまり、将来の見通しが立たず、博士課程に進む学生数が伸び悩む悪循環に陥っている。

 文科省によると、人口100万人あたりの博士号取得者数は、韓国の344人や英国の342人、米国の286人に対し、日本は126人にとどまる。

 政府は23年4月、博士号取得者を採用した場合、人件費の一部を税額控除するなどの支援策を始めた。文科省は今年3月、人口あたりの博士号取得者数を、40年に20年度の約3倍に増やす目標を掲げた。

 一方、国内の大学発ベンチャー(新興企業)では、博士号取得者が従業員の2割を占める。経産省が20年に企業担当者に実施した調査では、博士人材を採用していない企業のうち、「博士を採用したくてもできていない」との回答が35・6%に上った。

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