1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

コメの品不足 国民の不安招かぬ情報発信を

読売新聞 / 2024年8月23日 5時0分

 日本人の主食であるコメの品不足や価格上昇が続いている。政府は、国民の不安を招かぬよう、適切な情報発信に努めてもらいたい。

 スーパーや米穀店で、主食用のコメが品薄となっている。店頭では、購入を制限する動きが広がっており、1家族1点までに限る大手スーパーもあるという。

 民間の在庫量は6月末で156万トンまで減り、比較できる1999年以降、最も少なくなった。

 品薄を受け、値上がりも顕著だ。5キロ・グラム入りが、通常の2倍近くとなる3000円を超えるまでに高騰した例があるという。

 ただし、コメの安定供給に責任を負っている農林水産省は、日本全体でみれば、必要な民間の在庫量は確保されており、需給は 逼迫 ひっぱくしていないとしている。

 一部の卸売業者が、外食業界向けなどに必要な数量を確保しようとコメを買い集め、価格上昇につながったとも指摘される。

 消費者の間に、いたずらに不安が広がることは望ましくない。政府は、消費者や業者に対し、きめ細かく情報を伝えて、混乱を招かないようにするべきだ。

 秋以降、新米が本格的に出回れば、品薄が緩和されるとの見方もある。凶作でコメ不足に陥った93年の「平成の米騒動」とは異なる状況だ。消費者は買いだめに走らず、冷静に対応してほしい。

 品薄と価格の高騰が生じている要因は三つある。

 政府は、人口減で毎年10万トン、消費が減ると推計し、補助金をつけ、飼料用米などへの転作を支援する生産調整を続けてきた。このため、2023年産の収穫量は過去最少の661万トンとなった。

 そこに、昨年夏の猛暑により、北陸や東北などの主要なコメ産地で、小粒なコメが増え、粒の白濁が広がった。主食用の23年産米は市場に出回る量が減少した。

 さらには本格回復した訪日客による外食の需要増が重なった。

 農水省は、猛暑の影響やインバウンドの需要増が、今後、どの程度続く可能性があるのか、改めて点検し、生産調整のあり方を検討していくことが重要だ。

 コメの価格が一定程度、上昇すれば、農家の収入増となって、経営にプラスとなる面があるが、物価高で家計が苦しい中、コメの価格が急騰すれば、結果として需要の減少を招き、農家の経営にも打撃を与えることが懸念される。

 過度な価格変動を避け、安定的な生産基盤を築くことは消費者と生産者の双方の利益になろう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください