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外国人に無償で「使える日本語」教室、国のカリキュラム活用し浜松でスタート…自立につなげ人材活用

読売新聞 / 2024年8月23日 13時30分

講師(右)から日常生活に必要な会話を学ぶ生徒ら(浜松市中央区で)

 約3万人の外国人が暮らす静岡県浜松市が、日常生活で必要なレベルの日本語を外国人に習得してもらう取り組みをスタートさせた。国が作成したカリキュラムを活用する全国初のケースとなる。働き手の不足が指摘される一方、日本語で意思をうまく伝えられない外国人も多く、「自立した日本語の使い手」を目指してもらう。(浜松支局 中島和哉)

 「これはどこの豚肉ですか」「ブラジル産です」

 市外国人学習支援センターで「買い物」の場面を想定した会話の授業が行われた。ブラジルやフィリピン、中国など6か国から来た10~60歳代の約20人に、講師の浜松国際交流協会職員が説明する。

 生徒は主婦やパート従業員らで、日本語をほとんど話すことができない。6年前に来日した日系ブラジル人2世の坂上マリステラさん(57)は好きな接客の仕事に就けず、病院では症状を伝えるのに苦労する。「会話を少しずつ覚えてきた。コミュニケーションが必要な仕事に就きたい」と抱負を話した。

 市内の外国人のうち、長期滞在できる在留資格を持つ人の合計は約7割にのぼり、全国平均(38%)より高い。市は今年度から、国が2022年に作成した日本語習得カリキュラム「生活Can do」をベースにした独自の教材を作り、生徒らに無償で教えている。授業は午前から昼過ぎまで行われ、年間150日、計600時間のプログラムだ。「レストランの店員に名前や予約時間などを答えられる」「銀行で口座開設の申請書などの書き方を尋ねられる」など、約500の場面を習う。

 「生活Can do」の特徴は、これまで統一されていなかった外国人の日常会話のレベルを6段階に分けたことだ。「聞いたり読んだりしたほぼ全てのものを容易に理解できる」の「C2」から、「日常的な表現と基本的な言い回しは理解する」の「A1」まであり、生徒らは「仕事や学校、娯楽などの身近な話題で主要点を理解できる」に相当する、上から4番目の「B1」までを習得する。

 文部科学省によると、自治体が運営する日本語教室は約870か所あり、同省は補助金を出すなどして「生活Can do」を普及させたい考え。同省日本語教育課の北村祐人専門官は「外国人人材の活用に加え、外国人が日本で豊かな社会生活を営むための取り組みだ」と話している。

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