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コメの棚空っぽの異常事態、秋の新米で品薄解消しても価格は大幅上昇…猛暑で供給減・訪日客増で需要増

読売新聞 / 2024年8月23日 13時46分

 コメが全国的に品薄となっている。昨年の猛暑で供給が減った一方、訪日客の回復で需要が増えたことなどが要因で、スーパーなどの店頭では商品が欠品したり、購入数量が制限されたりしている。2024年産米の出荷が本格化する9月下旬には品薄が解消する見通しだが、新米の価格は大幅に上昇している。(川口尚樹)

異常事態

 「この銘柄は完売したんですよ」

 福岡県春日市にあるJA筑紫の直売所「ゆめ畑春日店」で22日、従業員が男性客に申し訳なさそうに説明していた。玄米が入っているはずの空っぽのショーケースを見た男性客は「コメが売り切れなんて初めて見た」と驚いていた。

 同直売所は組合員の農家から仕入れた3銘柄を販売しているが、23年産の「元気つくし」と「夢つくし」は今月18日に在庫が尽きた。品薄や価格高騰の情報が伝わり始めた6月頃から販売量が通常の2倍以上に伸び、急速に在庫が減った。

 残る「ヒノヒカリ」も1家庭あたり10キロ・グラムに購入を制限しているが、9月初旬には売り切れる見通しだ。関学店長は「新米が並ぶ9月下旬まで一時的にコメが店頭からなくなりそうで、異常事態だ」と話す。

 他の小売店も状況は同じだ。大手スーパーの福岡市中央区の店舗ではコメ売り場の大半の棚が空で、「入荷状況が不安定なため、欠品が発生している」との断り書きが貼られていた。

在庫最低水準

 コメが品薄となっている背景には、昨夏の猛暑による品質低下で供給量が減ったことに加え、訪日客数が過去最高ペースで推移して業務用需要が増えたことがある。農林水産省によると、6月末の民間在庫量は前年同月より約2割少ない156万トンと、過去最低水準になった。

 さらに、今月8日に発生した宮崎県沖の日向灘を震源地とする地震を受け、南海トラフ地震への備えからコメを買いだめする動きも出て、品薄に拍車をかけている。ただ、同省は「24年産米の出荷が本格化すれば、品薄は解消する」と冷静な対応を呼びかけている。

早場米4割高

 品薄は価格にも響いている。JAと卸業者など業者間の23年産米の相対取引価格(60キロ・グラムあたり、全銘柄平均)は6月に1万5865円と、東日本大震災後のコメの在庫不足の影響があった13年8月以来、約11年ぶりの高値をつけた。7月はやや下がったが、前年同月より13%高かった。

 出回り始めた新米は大幅高の様相だ。収穫開始が7月と早いことから新米相場の指標として全国的に注目される宮崎県産「早場米」は、ある地区のJA買い取り価格(60キロ・グラム)が1万9000円超と、前年より約4割上がった。

 コメ卸大手の担当者は「多くの卸業者が在庫を確保しようと、近年にない高値で買い付けている」と指摘。他の産地分も含めて早場米の店頭価格が5キロ・グラム3000円前後と前年の約2倍に上がっており、流通量が増える9月下旬でも新米価格は2500円前後になるとみている。

 福岡市西区の米穀店「吉村商店」は、飲食店など得意先への価格を前年の1・5倍に引き上げて交渉を始めた。吉村正太代表は「これまでの価格が安すぎた。物価や資材、燃料価格も上がっている。農家にも値上げ分が還元されるよう、消費者に理解を求めながら適正価格で売っていくしかない」と話している。

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