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パリオリンピック・マラソン6位、赤崎暁が示した箱根路ランナーの成長曲線

読売新聞 / 2024年8月23日 16時5分

 花の都で行われたパリ五輪が終わった。陸上では3種目に7人の箱根駅伝経験者が出場。メダル獲得はならなかったが、2人が見事な入賞を果たし、日本長距離界にとって、次につながる走りを見せてくれた。(編集委員 近藤雄二)

史上最難関コースに3人挑む

 男子マラソンには3人の箱根経験者が出場した。今回のコースは、パリ市街から南西郊外のベルサイユ宮殿へ向かい、再び市街地に戻る。途中、高低差約150メートルの「山越え」が2度あって、五輪史上最も過酷なコースと呼ばれた。

 その難コースを攻略したのが拓大出身の赤崎暁(九電工)だった。終始先頭集団でレースを進めると、25キロ過ぎには一時トップに立つ。28キロ付近で優勝するタミラト・トラ(エチオピア)が抜け出すが、29キロ付近の最大勾配13・5%の急坂も力強く駆け上がった。35キロ付近までメダル争いに加わり、6位でゴール。この厳しいコースで、自己記録を約1分半更新する2時間7分32秒の快走だった。

 今季は起伏のある2月の青梅マラソン(30キロ)で優勝。5月の日本選手権1万メートルでは27分43秒84の自己新で7位入賞と、アップダウンへの対応を進めつつ、スピード強化もしっかり果たしてきた。その成果を五輪の大舞台で花開かせた赤崎は「超楽しかったです。監督からは2時間5、6分台は出せる練習はしていると言われていた。この起伏のあるコースで7分台は自分にすごいプラス」と、笑顔をはじけさせた。

 拓大時代、箱根駅伝では3区9位が最高区間順位。その赤崎の活躍は、実業団、学生ランナーへの大きな刺激となったはずだ。熊本出身者では箱根駅伝創始者の 金栗四三 かなくりしそう以来、100年ぶりの五輪マラソン代表だったが、途中棄権に終わった金栗さんの無念を晴らす快走にもなった。

大迫傑はロス五輪挑戦を宣言

 早大出身で東京五輪6位の大迫傑(ナイキ)は、中盤まで先頭集団でレースを進めたが、起伏に対応しきれず13位。「上りで力を使ってしまった部分があった。(赤崎の6位に)こうやって入賞を積み重ねることが大事だし、僕もロスに向けて、また4年しっかりと準備してパワーアップできるよう頑張りたい」。まだまだやれるという手応えを得たのか、37歳で迎えることになる、4年後のロサンゼルス五輪挑戦を宣言した。

三浦龍司、2大会連続入賞にも「悔しさ残る」

 男子3000メートル障害では、順大出身で東京大会7位の三浦龍司(SUBARU)が、2大会連続入賞となる8位に食い込んだ。

 決勝の序盤はハイペースで入ったが、1000メートルを過ぎるとスローダウン。大きな集団のままラスト1周を迎えた時、三浦は集団の最後尾付近で13番手だった。バックストレートで米国選手が仕掛けると、集団は縦長になり、世界記録保持者のラメチャ・ギルマ(エチオピア)が障害で転倒。混乱の中で三浦は着実に順位を上げ、最後は8位でゴールを迎えた。

 表彰台まで5秒25の8分11秒72。この種目の日本勢では史上初の入賞を遂げた東京大会に続く入賞は、世界に通じる高い実力を示したと言える。しかし、目指したメダル争いには最後まで絡むことができず、頂点との差は感じさせられた。

 「この3年、海外のレースを経験してアベレージが上がった走りは見せることができた。ただ結果を見ると悔しさが残る。実力者の圧倒的な走りに、できるだけ近づきたい。この結果を生かし、来年の世界選手権ではメダルに到達したい」

 地元東京で行われる世界選手権を見据えた三浦。22歳にして、五輪で既に2度入賞は快挙と言っていい。その自信と経験を、さらなる飛躍へ結びつけたい。

トラックではスピード不足の課題も

 一方、1万メートルに挑んだ創価大出身の葛西潤(旭化成)は上位に1周回遅れの20位、早大出身の太田智樹(トヨタ自動車)は2周回遅れの24位に終わった。金のジョシュア・チェプテゲイ(ウガンダ)が26分43秒14の五輪新をマークし、13人が26分台。トラックのスピード不足という積年の課題が、次の4年へ重く残った。

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