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NHK国際ラジオの生放送で中国人スタッフが不適切発言、立ち会った職員は止められず20秒続く

読売新聞 / 2024年8月23日 22時2分

NHK

 NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、外部スタッフだった中国籍の男性が沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」と発言し、さらに英語で「南京大虐殺を忘れるな」など原稿にない発言をした問題は、NHKの稲葉延雄会長が陳謝する事態となった。日本の立場を海外に伝える国際放送での不祥事に対して、識者からは懸念の声が上がっている。

尖閣諸島を「中国の領土」

 国際放送は、日本政府の見解や日本文化を外国や在外邦人に伝えるのが役割。放送法でNHKの本来業務と定められ、総務大臣が放送事項などを指定して放送を要請することもできる。今年度は、テレビに26億3000万円、ラジオに9億6000万円の計35億9000万円の交付金が国から出ている。

 男性はNHKから委託されて国際放送を担当している関連団体と契約。2002年からニュース原稿の中国語への翻訳と、読み上げ業務にあたってきた。

 元NHK職員で国際放送局でテレビニュースを制作していた大阪芸術大学短期大学部の立岩陽一郎教授(放送研究)は「海外ではほとんど視聴されていないという思いがあり、現場のモチベーションは低かった。英語放送と違い、ラジオの中国語ニュースは部署も小さい。何らかの主張を持った外国人を適切に管理・監督するのが難しい部分があったのでは」と話す。

 問題となった中国語放送は生放送で、男性と別のスタッフが2人で順番に原稿を読み上げた。その際、中国語がわかる日本人職員のデスクと外部のディレクターが放送に立ち会っていた。

 男性は靖国神社での落書き事件のニュースの後、原稿にない発言を始めた。職員はそのことに気付いたが、突然のことで発言を止めるなどの対応ができず、結果、発言は約20秒続いた。

識者「防ぐ手立て用意すべきだった」

 企業の危機管理が専門の関西大・亀井克之教授(リスクマネジメント論)は、「生放送には常にこうしたリスクはありうる。事前に防ぐ手立てを用意しているべきだった。ほかの放送局も教訓とすべきだ」と指摘した。

 今回の問題を受け、NHKはまず中国語ニュースを事前収録に切り替え、今月中に他の16言語にも広げ、AI(人工知能)アナウンスの導入も検討する。

 NHKは当初、男性の発言を「(尖閣諸島は)中国の領土」と話した部分しか発表しなかった。詳細を明らかにしなかった理由について、NHK広報局は「放送上、伝えるべきではない内容。結果的に放送を通じて主張を拡散させたいという目的を達成させてしまうことになりかねないと考え、対応した」とコメントした。

 関連団体は21日付で男性との契約を解除。男性は、「代理人を通じて対応する」とし、発言の意図を明らかにしていない。

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