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京都国際に中崎琉生・西村一毅の盤石両左腕、適時打なしで2得点…決勝初タイブレイク制す 

読売新聞 / 2024年8月24日 5時0分

9回無失点と好投した京都国際先発の中崎(23日)=前田尚紀撮影

 第106回全国高校野球選手権大会の決勝が23日、甲子園球場(兵庫県西宮市)で行われ、ともに初優勝を目指した京都国際(京都)がタイブレイクに入った延長で関東一(東東京)との競り合いを制し、甲子園開場100年を迎えた節目の大会で深紅の優勝旗を手にした。京都勢としては1956年の平安(現・龍谷大平安)以来68年ぶりの全国制覇。京都国際は春夏通じて甲子園で初めて頂点に立った。東京勢として2011年の日大三(西東京)以来の優勝を狙った関東一は、堅守で終盤勝負に持ち込んだが、あと一歩及ばなかった。

京都国際2―1関東一

 京都国際は十回、押し出し四球で均衡を破り、三谷の犠飛で加点。その裏、救援の西村が1失点でしのぎ、投手戦を制した。関東一は打線が4安打と振るわず、2番手の坂井が踏ん張れなかった。

中崎から西村 継投で歓喜

 京都国際の左腕・西村が十回、最後に投じたのは武器のチェンジアップではなく、エース左腕の中崎から教わったスライダーだった。左打者の外角いっぱいに制球し、空振り三振に仕留めた。中崎は真っ先にベンチを飛び出し、マウンドへ。チームを引っ張ってきた二枚看板は抱き合って喜んだ。

 先発を託されたのは3年生の中崎。4回2失点だった準決勝で球が抜ける原因となった上体の開きを修正したことで直球が内角に決まった。得意のスライダーもさえ、八回まで被安打4で、三塁を踏ませない。

 九回、味方の失策などもあって二死満塁のピンチを招く。外のスライダーで右飛に打ち取り、「西村が控えていたから全力で投げられた」と、決勝初の延長タイブレイクに持ち込んだ。

 2点のリードを奪った十回。2年生の西村は「自分が抑えないと、という強い気持ち」で打者に向かった。内野ゴロで1点を失った後、満塁とされて二死までこぎ着ける。3番打者を迎え、チェンジアップはキレが今ひとつ。捕手を信じ、サイン通りスライダーを投げ込み、歓喜を迎えた。

 京都大会は全試合を2人でしのいできた。今大会は1回戦から準決勝まで交互に先発。全6試合のうち、2試合で完投した中崎は31回を投げて5失点、西村は2完封を含め24回を1失点(自責点0)に抑えた。

 「2人で支え合いながらやってきた」と中崎が言えば、今春の選抜はメンバー外だった西村は「自分を成長させてくれた先輩」と感謝を口にした。小牧監督は「競い合って成長し、よく投げてくれた」とたたえた。「日本一を取ろう」と誓った2人は甲子園でも最後までマウンドを守り、チームを頂点へ押し上げた。(古島弘章)

京都国際・小牧監督「相手の攻める守備に圧力を感じたが、我慢比べなら絶対うちは負けないと思っていた。得点力がないのは今年のチームの持ち味。(優勝の瞬間は)時が止まったようで、あまり覚えていない。ただただ感激した」

適時打なしで2得点

 無死一、二塁で始まるタイブレイクの十回、京都国際の小牧監督は中崎の代打に西村を送った。「(投手だが)打撃センスと技術がある」打者だったからだ。

 西村がバントの構えを見せると、一、三塁手が猛然と突っ込んでくる。「内野の間を抜ければ」。4球目、コンパクトなスイングで外角直球を捉える。ライナー性の当たりは三塁のカバーに向かった遊撃手のグラブの上を越え、左前で弾んだ。

 サインは送りバントだったが、「プレスをかけてきたらバスターに切り替えてもいいと監督に言われていた」と西村。起用に応える打撃で無死満塁となり、金本が四球を選び、待望の1点が入った。続く三谷は代わったばかりの3番手から右飛を放ち、タッチアップした三塁走者が生還した。

 準決勝は投ゴロの間に決勝点を挙げ、この日は押し出し四球で均衡を破った。小牧監督は「泥臭く食らいつき、どんな形でもいいので1点をもぎ取る」スタイルを掲げてきた。「安打が出なくても点を取れる強いチームになった」と三谷は胸を張った。京都大会を含め本塁打はゼロ。適時打なしでの2得点に、目指してきた野球が凝縮されていた。(藤井竜太郎)

選球眼光った

 京都国際の金本が先取点をもたらした。延長タイブレイクの十回無死満塁で打席へ。3ボール1ストライクからボール気味の高めの直球を空振りし、ベンチの小牧監督から「落ち着け」と合図を送られた。「焦りが消えた」。続く6球目、低めへの直球を冷静に見極めて四球を選び、押し出しで先制。今大会は2回戦から1番に定着し、打率も3割超えとチームを引っ張った。「新たな歴史を作ることができた」と誇らしげだった。

◆京都国際・西村、関東一・坂井が防御率0.00 8強に進出し、投球回数がチーム試合数の3倍以上の投手が対象。西村は24回、坂井は18回2/3を投げた。2018年の報徳学園(東兵庫)・木村以来25、26人目。

◆18年ぶりに決勝が延長戦に 2006年に早稲田実(西東京)―駒大苫小牧(南北海道)が1―1で規定により延長十五回引き分けとなって以来。再試合は早稲田実が4―3で勝って優勝した。

◆京都国際野球部 1999年創部。夏は初出場の2021年に4強入りした。選抜には2度出場。主なOBに広島の曽根海成、DeNAの森下瑠大ら。

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