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ハリス氏演説「世界でのリーダーシップ、放棄ではなく強化」…孤立主義的なトランプ氏との違い強調

読売新聞 / 2024年8月24日 1時26分

 米民主党のカマラ・ハリス副大統領は22日の指名受諾演説で、自由や民主主義などの価値観や国際協調を重視するバイデン政権の外交方針を継承する意向を示した。経済政策では中間層の生活支援を前面に出したが、予算のばらまきは財政赤字の拡大や物価高の再燃を招くという批判もある。(ワシントン支局 池田慶太、田中宏幸)

ウクライナ支援の継続を約束

 ハリス氏は演説で「世界でのリーダーシップは放棄するのではなく強化する」と述べ、孤立主義的なドナルド・トランプ前大統領との違いを強調した。北大西洋条約機構(NATO)との連携を強め、ロシアの侵略を受けるウクライナへの支援を継続すると約束した。

 「民主主義と専制主義との闘いにおいて、米国がどこに属するかを知っている」とも語った。民主主義などの価値観重視はバイデン政権の外交政策の柱で、日本やオーストラリアなどとの関係を強化する礎となった。トランプ氏はNATO加盟国の軍事費が少なすぎると批判し、見直さなければ米国は防衛に関与しないと脅している。

 ハリス氏は、北朝鮮の 金正恩 キムジョンウン朝鮮労働党総書記がトランプ氏の復権を期待していると指摘し、「私は正恩氏のような独裁者にすり寄らない」と述べた。

 パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム主義組織ハマスの戦闘について、ハリス氏は「今こそ人質の解放と停戦をめぐる合意を成立させる時だ」と訴えた。

 イスラエル支持を表明する一方で、「ガザの苦しみが終わり、パレスチナの人々が尊厳や安全、自由、民族自決の権利を実現できるよう、戦争を終わらせる」との決意を示した。パレスチナに同情的な民主党内の支持層に配慮したものだ。

住宅や税額控除で中間層支援

 一方、ハリス氏は経済政策の柱として、住宅の購入支援や税額控除などで中間層を支援する方針を打ち出した。演説では「雇用を創出し、経済を成長させる。衣料や住宅、食料品といった日常生活に必要なコストを小さくする」と訴えた。

 価格上昇の原因になっている住宅の供給不足を解消するため、今後4年間で300万戸の新規建設を業界に要請する。初めて購入する人に、最大2万5000ドル(約360万円)を支給し、頭金の支払いを支援する。食品価格の上昇を抑えるため、企業による不当な価格つり上げを禁止する法律を制定する。

 ハリス氏が、最優先で生活費の負担軽減に取り組む姿勢を見せているのは、バイデン政権下でインフレ(物価上昇)が加速し、国民の不満が高まったためだ。バイデン政権下で高い経済成長を実現したが、支持率は低迷した。

 ただ、民主党が示す重要政策の財源はあいまいだ。米調査研究機関の「責任ある連邦予算委員会」は、ハリス氏の掲げる政策によって、米国の財政赤字が10年間で1兆7000億ドル増えると試算している。

 トランプ氏は経済政策として、前政権で2025年末までの期間限定で導入した「トランプ減税」の恒久化、関税の引き上げによる国内産業の保護を掲げる。税負担が減れば企業や個人の設備投資や消費は加速し、追加関税で輸入品の価格も上昇する。いずれも自身が批判するインフレの要因となりかねない。

 物価抑制に向けては、石油や天然ガスの増産でガソリンなどエネルギー価格を引き下げると訴えているものの、ちぐはぐな政策スタンスに疑問の声が上がっている。

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