新総裁・新首相選出で広がる「早期解散論」、自民が準備急ピッチ…不祥事絡み「空白区」調整難航か
読売新聞 / 2024年8月24日 9時53分
9月に行われる自民党総裁選の直後に新首相が衆院解散・総選挙に踏み切る「早期解散論」が広がる中、自民が次期衆院選への準備を急いでいる。党執行部は、公認候補予定者が決まっていない衆院小選挙区の早期解消を目指す考えだが、「空白区」は不祥事に絡んだ選挙区も多く、調整は難航する可能性もある。
党執行部は23日、党本部で支部長選任会議を開き、空白区となっていた静岡3区、和歌山新2区、大阪18区の3選挙区で、公認候補予定者となる選挙区支部長を決定した。
会議後、静岡3区支部長で掛川市議会議長の山本裕三氏(41)は記者団に対し、早期解散を念頭に「非常に短期決戦だ」として準備を急ぐ考えを示した。和歌山新2区の二階俊博・元幹事長の三男、伸康氏(46)も、「一日たりとも休まず選挙区内を回りたい」と記者団に語った。大阪18区では、鳥取県議の内田隆嗣氏(45)が支部長に選任された。
早期解散論が出ているのは、「政治とカネ」の問題で自民に逆風が吹く中、世論の新首相に対する期待感が高まっているうちに衆院解散・総選挙に打って出るのが得策との見方が一般的となっているためだ。「首相就任にあたっては国民の信を問う必要がある」との指摘もあり、総裁選に出馬する石破茂・元幹事長(67)は19日のBS日テレの「深層NEWS」で、「総選挙はあまり時期をおいてはいけない」と語った。
衆院選日程については、政府・与党内で「10月15日公示―27日投開票」「10月22日公示―11月3日投開票」「10月29日公示―11月10日投開票」の3日程が取りざたされている。
自民では現在、政治資金規正法違反事件で党員資格停止処分を受けた3議員の選挙区を除くと、7選挙区で公認候補予定者のめどがほとんど立っていない。
このうち4選挙区は、規正法違反事件で離党した塩谷立・元文部科学相の静岡8区や、除名となった池田佳隆衆院議員の愛知3区、公職選挙法違反事件で辞職した柿沢未途・前衆院議員(離党)の東京15区など、不祥事に伴う空白区だ。こうした選挙区では逆風が一層強いとみられ、支部長の選任作業にも時間を要する可能性がある。
衆院選の苦戦を見越し、総裁選では「選挙の顔」を選ぶ動きが強まることも予想されるが、党内では「選挙の顔を替えて収まるような逆風ではなく、党が生まれ変わる姿を見せなければならない」(中堅)との声も出ている。
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