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ハリス氏演説 「彼女ならできる」を示せるか

読売新聞 / 2024年8月24日 5時0分

 米大統領選の民主党候補に急きょ決まったハリス副大統領が、追い風に乗ったのは間違いない。一過性の熱狂に終わらせず、有権者の幅広い期待を得られるだろうか。

 民主党大会が開かれ、ハリス氏が指名受諾演説を行った。大統領候補に指名されて以降、ハリス氏が、めざす国家像や政策をまとめて示したのは初めてである。

 インドから米国に移民した母親に育てられ、自らが中間層の出身であることを紹介した上で、「強い中間層を築く」ことが大統領としての重要な目標だと述べた。

 ほとんど知られていない外交政策についても広範に語った。「21世紀の競争は、中国ではなく米国が制する」と述べ、超大国の復活を宣言した。

 同盟国との協調を重視し、中国やロシアなどの権威主義国に 対峙 たいじする方針も示した。ウクライナ支援の継続や、パレスチナ自治区ガザでの早期停戦も訴えた。

 バイデン政権の方針を踏襲しており、同盟・友好国には安心材料となったのは間違いない。一方で、党内でも批判が強いイスラエルの軍事行動を直接非難しなかった。踏み込み不足は否めない。

 党大会では、事実上の政権構想となる党綱領も採択された。バイデン氏再選を前提にした内容を更新せず、「2期目のバイデン政権」などの表現がそのまま残った。お粗末な一面ものぞかせている。

 民主党内の空気は、この1か月で一変した。衰えが目立つ81歳のバイデン氏では勝てないという悲観論が支配的だったが、黒人・アジア系女性で59歳のハリス氏への交代で、活気を取り戻した。

 ハリス氏陣営には資金が集中し、世論調査の支持率では、共和党候補のトランプ前大統領を数ポイント上回る結果も出ている。

 一方で、ハリス氏は大統領候補となるまで党内では不人気で、政治手腕も未知数とされる。大統領選前に行われる党内予備選を経ておらず、メディアのまとまったインタビューにも応じていない。

 トランプ氏の再選阻止という目的で支持層を再結集させることには成功したが、勝敗のカギを握る接戦州を制するには、無党派層を中心に、積極的にハリス氏を選択してもらう努力が必要だろう。

 党大会で登壇したオバマ元大統領は、自身の選挙時の合言葉を使って「イエス・シー・キャン(彼女ならできる)」とハリス氏を激励した。投票日まで2か月半、ハリス氏ならやってくれると思わせる機会をもっと増やすべきだ。

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