ロシアの捕虜となったウクライナ兵、36歳の妻はがんで余命迫り「どうしても夫に会いたい」…涙の訴え
読売新聞 / 2024年8月24日 11時1分
【キーウ=倉茂由美子】ロシアの侵略で捕虜となったウクライナ兵は1月時点で約8000人に上るとされる一方、露軍との捕虜交換で帰還した兵士らは約3400人にとどまる。24日で侵略開始から2年半。捕虜との連絡が長い間途絶えた家族は再会を待ち望み、焦燥感を募らせている。
「どうしても夫に会いたい」。南東部メリトポリ出身のオレクサンドラ・ネチャイエフさん(36)は7月2日、避難先のキーウ郊外の自宅で10歳と6歳の息子を抱き寄せ、声を振り絞るように語った。夫のオレフさん(33)は2022年4月に捕虜となり、帰らぬままだ。自身は乳がんを発症し、宣告された余命が迫る。
海兵隊員として南東部の港湾都市マリウポリの防衛にあたっていたオレフさんは同年3月下旬、拠点としていたイリイチ製鉄所が包囲された。「これが最後かもしれない。さようなら」。短時間の電話で告げられ、以降は連絡がない。
軍からの情報提供で、部隊は4月4日に投降し、捕虜になったと知った。乳がんが見つかったのはその直後。「余命は半年。長くても3年」と宣告された。メリトポリで夫の解放を待ち続けたが、病状が悪化し、9月にキーウへ逃れた。
ロシアのSNSでオレフさんを探し続けると、痩せこけて口元に傷がある写真が見つかった。捕虜交換で解放された兵士から東部ドネツク州や露西部クルスク州の収容所で見かけたと聞いた。4か月間全裸で生活させられていたという。
オレクサンドラさんのがんは全身に転移し、寝たきりとなった。一緒に暮らすオレフさんの姉マリアさん(34)は「再会したいという気力だけで持ちこたえている」という。捕虜交換のたびにオレクサンドラさんは「今度こそ」と夫の名前を探しては、落胆を繰り返してきた。「残りの時間がどれだけあるか分からない。一刻も早く夫を帰して」。涙を浮かべて訴えた。
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