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焼き肉店に逆風…コロナ禍の出店増から一転、輸入牛肉の価格高騰で倒産が過去最多ペース

読売新聞 / 2024年8月24日 14時13分

 焼き肉店に逆風が吹いている。円安に伴う輸入牛肉の価格高騰が経営の重荷となり、倒産件数は過去最多のペースで推移している。コロナ禍の中、換気設備の整った焼き肉店を出店する動きが増えたことで競争も激しくなっており、今後も 淘汰 とうたが加速する可能性がある。(升田祥太朗)

 「ハラミの仕入れ値は1年前の1・5倍。他の肉も値上がりしている。でも、値上げは客離れにつながるので避けたい」

 大阪市中央区で「個室焼肉  味来 みらい難波 心斎橋店」を運営する岡田晃樹さん(37)は今月下旬、こう打ち明けた。昨年から各テーブルにタブレット端末の注文システムを導入し、これまでの約半数の人員で店を回している。人件費を抑えてしのいでいるという。

 農畜産業振興機構によると、米国産牛バラ肉(冷凍)の5月の卸売価格(1キロあたり)は、前年同月比で63・7%高い1436円と、統計が残る1993年度以降で最高値だった。7月は1320円に下落したが、それでも前年に比べると46・7%高い水準だ。同機構の担当者は「円安に加え、米国内の干ばつで出荷量が減少していることも価格を押し上げている」と話す。

 帝国データバンクの調査では、焼き肉店を運営する企業の1~6月の倒産件数(負債額1000万円以上)は20件で、前年同期の2・5倍に達した。消費税率が引き上げられ、最多だった2019年1年間の26件を上回る勢いだ。負債額が小さい個人営業などの事業者を含めれば、さらに倒産件数は膨らむとみられる。

 飲食店の中でも焼き肉店は原価率が高く、仕入れ値は経営を大きく左右する。飲食業界に詳しい船井総合研究所の石本泰崇氏によると、飲食店の平均的な原価率は30~35%だが、焼き肉店は35~40%という。石本氏は「焼き肉店は調理しない分、肉質の良さで差別化する必要があり、原価が高くなる」と指摘する。

 「肉焼屋」などの焼き肉店を展開するデホラン(大阪市)は、円安が進み始めた約2年前から国産牛の品ぞろえを強化。3割程度だった国産牛の割合を7割に増やした。三井 大虎 たいほ社長(52)は「国産と海外産の価格差が縮まり、品質とのバランスを考えると国産の優位性が高まっている。価格の変動も国産が安定している」と明かす。

 コロナ禍で外食業界が打撃を受ける中でも、焼き肉店の回復は早く、居酒屋チェーンのワタミが一部の店舗を焼き肉店に転換して新規参入するなど、出店が相次いだ。リクルートが運営する飲食店予約サイト「ホットペッパーグルメ」では、焼き肉店の掲載店舗数はコロナ禍前の約1・5倍に増えており、「焼き肉店は戦国時代」(岡田さん)の様相も強まっている。

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