ウクライナ、対ロシア圧力強め将来の停戦交渉に備え…「グローバル・サウス」の支持固めも重視
読売新聞 / 2024年8月24日 17時13分
【キーウ=蒔田一彦】ロシアによる侵略開始から24日で2年半が経過し、ウクライナは外交と軍事の両面で対露圧力を強めようとしている。将来的に停戦交渉が始まった場合、少しでも自らに有利な形で臨むためだ。ウクライナの思惑通りに進むかどうかは、戦況の推移や国際情勢に大きく左右されることになる。
ウクライナの独立記念日である24日、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はビデオ演説で「ロシアは早晩、ウクライナの攻撃が我が国と国民の生命を脅かす露国内のいかなる地点にも到達することを知るだろう」と語った。演説は北東部スムイ州のロシアとの国境付近で撮影した。ウクライナ軍が越境攻撃を続ける露西部クルスク州に隣接する。
今回の越境攻撃は、将来的なロシアとの交渉開始を強く意識している。6月にスイスで開いた平和サミットでは、ロシアとの対話を求める声が相次いだ。11月の米大統領選の共和党候補、トランプ前大統領は即時停戦を主張する。
外交面では新興・途上国「グローバル・サウス」からの支持固めを重視する。ゼレンスキー氏は23日、キーウに招いたインドのナレンドラ・モディ首相から「ウクライナの主権と領土の一体性」への支持を取り付けた。7月にはドミトロ・クレバ外相が訪中し、8月にアフリカも歴訪した。ウクライナ政府関係者は外交と越境攻撃が「同じ戦略の2本柱だ」と米紙に説明した。
ただ、見通しは決して明るくない。クルスク州から撤退を余儀なくされれば、筋書きは崩れる。米大統領選でトランプ氏が当選した場合、望まない形での停戦を迫られるリスクもある。インドのANI通信によると、ゼレンスキー氏は23日、記者団に対し「トランプ氏や彼のチームから(支援継続に関する)何の合図も受け取っていない」と述べた。
ロシアは中国と関係を深め、露中印などで構成する「BRICS」への加盟を申請する国も相次ぐ。ウクライナは2回目の平和サミットを年内に開催し、ロシアの参加も視野に入れるが、プーチン大統領は否定的な姿勢を崩していない。
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