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災害弱者の避難 逃げ遅れや関連死をどう防ぐ

読売新聞 / 2024年8月25日 5時0分

 南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)の呼びかけをきっかけに、防災の大切さを実感した人は多いだろう。犠牲者を出さないために、必要な備えを急ぎたい。

 臨時情報の対象地域では、数分で大津波の到達が予想されるところもある。命を守るためには、迅速な避難が不可欠だ。

 住民や学校、企業など地域が一体となり、訓練を重ねる必要がある。地道な取り組みの繰り返しが被害の低減につながるはずだ。

 とりわけ大きな課題は、高齢者や障害者、小さな子供ら、避難に手助けを必要とする災害弱者をどう救うか、ということだろう。

 東日本大震災では、死者の6割を高齢者が占め、また、障害者の死亡率が住民全体の率の2倍になった地域もあった。逃げ遅れが一因とみられる。災害弱者を支えるための仕組みが欠かせない。

 災害対策基本法は、災害弱者の個々の事情を踏まえた「個別避難計画」の作成を自治体の努力義務としている。いざという時、誰が支援し、どこへ避難するのかを事前に確認しておくのが目的だ。

 ただ、支援の担い手不足などから、計画作成を終えた自治体は全体の9%にとどまる。自治体だけで抱え込まず、地元の自治会や福祉団体などと幅広く連携し、地域ぐるみの協力体制を築きたい。

 災害時に支援を必要としている人たちの所在を確実に把握し、災害弱者や、その家族を孤立させないことも重要だ。

 そのためには地域で防災イベントを開き、住民同士の交流を深めることが効果的ではないか。高齢者らも積極的に参加し、災害時に遠慮なく助けを求められる関係づくりに努めてほしい。

 実際に大地震が起きれば、避難の長期化も予想される。避難生活の環境を整え、災害関連死のリスクを減らさなければならない。

 体育館で雑魚寝するような避難所では、若者でも健康を損ないかねない。日本では避難所の環境の悪さが度々問題になっている。

 4月に大地震が発生した台湾では、発生直後からテントや温かい食事が用意された。自治体が民間業者と連携し、役割分担して取り組んだという。海外の事例も参考に、対策を強化すべきだ。

 ケアが必要な人には福祉避難所が設けられるが、能登半島地震では、福祉避難所に指定された施設も被災し、役割を十分に果たせなかった。被災が広範に及ぶ場合に備え、自治体の枠を超えた広域避難も検討しておく必要がある。

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