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人材の多様性に興味を持つ就活生が増加 人事担当者「Z世代は欧米のきれいごとに影響されすぎでは?」

J-CASTニュース / 2024年8月24日 12時0分

人材の多様性に興味を持つ就活生が増加 人事担当者「Z世代は欧米のきれいごとに影響されすぎでは?」

D&Iへの意識は?

多様な人材が所属する状態を指す「ダイバーシティ」と、多様な個性が活かされ包摂されている状態を指す「インクルージョン」。組織や社会について、いわゆるZ世代が重視する価値観のひとつといわれている。

ある調査によると、2026年卒業予定の学生の6割超が、企業の「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」に関する考え方を知ることで志望度が上がる、と答えたという。企業の採用PRのやり方にも影響を与えそうな結果だ。

学生「社会的責任を果たす企業に好感」

この調査は、学情が「あさがくナビ2026」サイト来訪者を対象に実施し、276件の回答を得たもの。D&Iの考え方を知ることで、明確に「志望度が上がる」と答えた学生が24.3%、「どちらかと言えば上がる」を含めると62.3%にのぼった。

調査では、学生から「利益追求のみならず社会的責任を果たす企業に好感を持つ」「多様性を尊重する企業は、社員の個性や価値観を大切にしていると感じる」といった意見が寄せられたという。

企業のD&Iに関する取り組みで注目する点としては「働き方の制度・柔軟性」が51.8%で最も多く、次いで「従業員の満足度」が45.3%、「男女比率」が40.2%、「勤続年数」が34.4%、「女性管理職比率」が32.6%と続く。

学生からは「同じ会社で長く働きたいと考えているので、働き方の制度に注目している」「従業員の満足度が、会社の発展につながっていると思う」「男女比率に偏りがあると、多様性を受容している企業とは言えないと思う」「勤続年数の長い人が多い企業は、多様な人材が活躍できる環境が整っているイメージ」といった声が寄せられている。

D&Iに関する企業の取り組みを知るために利用したい情報源としては、「企業ホームページ」が76.8%。次いで「採用ホームページ」が57.2%、「会社案内パンフレット」が34.4%などと続く。やはりスマホで閲覧できることが重要なようだ。

改正女性活躍推進法で「女性比率」など公表義務付け

この調査結果について、大手上場企業の人事部門で働くAさんに話を聞いた。D&Iに関する企業の取り組みを調べる際に、知っておきたいサイトがあるという。それは、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」。

「2022年4月から改正女性活躍推進法が全面施行されて、常時雇用する労働者が101人以上の会社は『女性の活躍に関する情報公表』が義務付けられました。その内容は、厚生労働省の『女性の活躍推進企業データベース』で公表されることになっています」

義務の内容は、「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」に関する情報と、「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」に関する情報から、それぞれ1項目以上を選択し、2項目以上を公表すること。

「まず『職業生活に関する機会』とは、例えば、採用者に占める女性の割合や、女性労働者の割合など。『職業生活と家庭生活との両立』とは、男女の平均継続勤務年数の差異や、男女別の育児休業の取得率といったものです」

Aさんによれば、この情報公表制度と、Z世代の「D&I」への興味は、ある部分で一致しており、それが前述の調査結果にも出ているという。

「前出の調査は広くD&Iについて聞いたものですが、注目する点に『男女比率』をあげた人が4割いるなど、職場に女性の活躍環境が整っているかどうかは注目度の高い領域です。公表された情報が実際の志望企業に影響を与えていることが分かれば、就活生や転職志望者を集めたい会社は、当然D&Iへの取り組みを強化する。そんな循環が生まれそうです」

懸念される大手と中小の「採用格差」拡大

ただしAさんは、気になることが2点あるという。1点目は、D&Iに関する魅力的なデータを生み出せるのは、ある程度規模の大きな余裕のある会社だけで、就活生の大企業志向の集中度合いがさらに高まり、採用格差が広がるのではないか、ということだ。

「特に大手企業が、男性の育児休業取得率を上げるために『育休期間中も有給にする』なんて言い出したら、中小企業がかなうわけがありません。そもそも、男女の役割分担の考え方は多様であるべきで、仕事に注力して家計を支えることで果たす役割もあるはずです。一方的な流れに疑問を呈することがしにくい現在の雰囲気は、多様化に反するのでは、と思うこともあります」

もう1点は、Z世代だけの価値観に企業経営が引っ張られていいのか、ということだ。

「株式会社にとって、目的はあくまでも業績であり株主価値であって、多様性や包摂は常に有効な手段となるとは限りません。例えば成長スピードが極めて速い分野において、一方向に向かって大きなエネルギーを生もうとするとき、多様性よりも画一性が大事になることもありえます。その過程で人材の選別が行われ、求心力に沿わない人が排除されることもあるし、採用面接や試験もそのためにあるわけです」

Aさんは「語弊はあるけれど」と断ったうえで、「Z世代の価値観は、欧米メディアが発信する、きれいごとや建前のスローガンに影響されすぎているのでは? ビジネスより社会活動に興味を持つ若者ばかりが増えても困ります」。自分が社内でD&Iを推進しながらも「成約条件が目的のように扱われるのは正直違和感がある」と明かしている。

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