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石見銀山の世界遺産登録に尽力、溝口善兵衛・前島根県知事が死去…財務官時代は「ミスター・ドル」の異名

読売新聞 / 2024年8月25日 13時2分

世界遺産認定書を手にする溝口前知事(2007年11月、大田市で)

 2019年4月まで3期12年にわたって島根県知事を務め、今月20日に78歳で亡くなった溝口善兵衛氏は、石見銀山遺跡(大田市)の世界遺産登録や県の財政健全化などで尽力した。関係者からは死を悼む声が相次いだ。(松田栄二郎)

 溝口氏は益田市出身で、東京大経済学部を卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。財務官時代には、円高阻止のため、円売り・ドル買い介入で30兆円を超えるドルを買い、「ミスター・ドル」と呼ばれた。

 07年4月にあった統一地方選の知事選で初当選。就任後は官僚時代に培った手腕や人脈をいかし、「財政再建」などを掲げスピード感を持って施策に次々に着手した。

 中でも就任直後の同年5月には、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ=本部・パリ)の諮問機関が、石見銀山遺跡の世界遺産登録を延期するよう勧告したことを受け、知己の間柄だった当時のユネスコ日本政府代表部特命全権大使に協力を要請。同大使の現地視察を実現させ、翌月に始まった世界遺産委員会による最終審査で「逆転登録」へと導いた。

 県世界遺産室長時代に同遺跡の調査研究などに取り組み、現在は民間団体「石見銀山研究会」の代表を務める若槻真治さん(67)(松江市古曽志町)は、世界遺産登録後に同遺跡を訪れた溝口氏を案内したことがある。「熱心に見て回るなど、文化財や歴史遺産に強い理解があり、我々としても助けになった。こんなに早く亡くなり、残念だ」と惜しんだ。

 このほか、出雲大社(出雲市大社町)の「平成の大遷宮」を機にした観光事業や、地方創生・人口減対策などに尽力。一方で17年に食道がんを公表し、健康状況や年齢を理由に19年4月の任期満了で退任した。

 丸山知事は「『住みやすく 活力ある 地方の先進県 しまね』を目指し、県勢の発展のためにご尽力された。長年にわたる多大なご尽力とご功績に、深甚なる敬意と感謝の意を表する」とのコメントを発表した。

 同様に07年4月の鳥取県知事選で初当選した平井伸治知事も「折に触れ卓越したご指導を賜った」と振り返り、「温厚篤実なお人柄」で「両県双方の実情に寄り添った発想に立った 稀有 けうなリーダーだった」としのんだ。

 出身地の益田市の山本浩章市長も「中央官庁への影響力は抜群で、萩・石見空港の(羽田便の1日)2往復再開に向けて、傑出した政治力を発揮していただいた。益田が生んだ最高の偉材といって過言でなく、ご逝去が惜しまれてならない」とした。

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