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「どっか行けプロやめろ」「ゴミデブくたばれ」SNS中傷、球界でも深刻…法的措置で対抗

読売新聞 / 2024年8月26日 8時1分

 プロ野球界で、選手らを 誹謗 ひぼう中傷する悪質なSNS投稿に対抗する動きが広がっている。かつては球場で飛び交うヤジも「野球文化の一つ」として慣習的に許容されていたが、選手や家族をおとしめる投稿が急増し、選手会や球団は法的措置を講じるようになった。ただ、中傷にあたる表現の判断基準が明確ではないなど、課題も山積している。(大背戸将)

 「どっか行けプロやめろ」「ゴミデブくたばれ」

 近年、試合でミスをした選手を侮辱する書き込みが相次いでいる。中には、選手の家族が事故に遭うことを願う内容や人種差別を含むメッセージもあった。

 事態を重く見た各球団は対策に乗り出しており、中日は7月、「度を過ぎた投稿には警察への届け出や法的措置をとることもある」と発表した。担当者は「目に余る投稿が年々増え、看過できない」と強調。ロッテ、日本ハムも同様の措置を取る方針だ。

 日本プロ野球選手会は昨年9月、顧問弁護士による対策チームを発足。今年7月、「消えろ」「ゴミ」などの表現を含む悪質な内容について、複数の発信者情報の開示請求が裁判所に認められたことを明らかにした。今後、刑事告訴や損害賠償請求を検討する。

 一方、「ヤジ」と「中傷」の線引きが曖昧という課題もある。選手会の担当弁護士は「同じ文言でも開示が認められるケースとそうでないケースがあった。どこからが侮辱にあたるのかという基準は定まっておらず、裁判官によっても判断が分かれるようだ」と指摘する。

 別の弁護士によると、一般的に政治家や芸能人のような人前に出て収入を得る職業は、中傷と判断されない範囲が広くなりやすいといい、「プロ野球選手も当てはまるのかという問題もある」と言及。その上で「職業によって我慢しないといけない範囲が異なるという考え方にも議論の余地がある」と疑問を呈する。

 ある球団関係者は「投稿数が多すぎて、全体を把握できない」とSNS問題に対応する難しさを語り、別の球団関係者は「SNSがプロ野球を楽しめない場になる」と危機感を募らせた。

元阪神・オリックス 能見さん…「心ない言葉傷つく」

 阪神、オリックスの投手として活躍した能見篤史さん(45)に、SNSによる中傷への受け止めを聞いた。

 現役の頃、球場で「死ね」「やめろ」とよく言われました。当然怒りを覚えましたが、そう言われるのは成績がふがいないから。当時はある程度仕方ないと自分を納得させていました。

 受け入れられたのは、お金を払って試合に来ているお客さんの言葉という面もあったと思います。一方、SNSは発信者が何者か分かりません。そこで目にする中傷は気味が悪く、不快な気持ちはより強まります。

 拡散力のあるSNSは、投稿が誰に届くかも分かりません。家族が見て心を痛めるかもしれないし、子どものいじめのきっかけになるかもしれない。大切な人まで傷つけてしまう怖さがあります。ファンを身近に感じられるメリットもあるだけに、中傷が収まらない現状は非常に残念です。

 試合を見て腹が立つことがあるのは分かるし、厳しい声をかけてもいい場面もあります。ただ、選手も一人の人間ですし、心ない言葉には傷つきます。自分が言われて嫌な表現は、球場でもSNSでも使わないという意識が広まることを願っています。

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