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サッカー元代表の柏木陽介さん、鵜飼観覧船の船頭に…失意の退団後支えた「岐阜には感謝しかない」

読売新聞 / 2024年8月26日 11時30分

長良川鵜飼の船頭になった柏木陽介さん(岐阜市で)=稲垣政則撮影

 昨季で現役を引退したサッカー元日本代表の柏木陽介さん(36)が、岐阜市に伝わる長良川 鵜飼 うかいの観覧船の船頭として活動している。柏木さんは昨季までJ3のFC岐阜でプレー。船頭への転身には、支えてくれた地元の人々に恩返ししたいとの思いがある。(岐阜支局 杉本奏)

 長良川に夜のとばりが下りる頃、観覧船が岸から次々と出発した。「皆さんを安全第一で送りたいと思います。まだまだ素人ですが、一生懸命こいでいくので、本日はよろしくお願いします」。柏木さんはこう乗客にあいさつすると、長いさおを操って船を動かし始めた。

 観覧船は、 鵜匠 うしょうが鵜を操り、アユを捕まえる様子を間近で見ることができる。船を安全に操縦し、見物客に鵜飼の解説をすることが船頭の役割だ。

 柏木さんは「命を預かる緊張感の中で、お客さんを楽しませる難しさがある。川の流れや大きな石を見極める視野の広さが大事なのは、サッカーに通じる」と話す。約40分の操船を終えると、乗客一人一人にあいさつし、船内を片付けた。

 柏木さんは、正確なパスを武器にJ1浦和レッズなどで活躍し、日本代表としてもプレーした。しかし、コロナ禍の2021年に外食などの規律違反から浦和を退団。失意の柏木さんに声をかけたのがFC岐阜だった。

 サポーターや地元の人々は温かく迎えてくれた。「サッカーをやる環境を与えてくれた」との感謝から、岐阜県内の市町村数と同じ「42」を背番号に。3季在籍し、リーグ戦61試合に出場した。若手に技術や経験を伝えるとともに、SNSで県内の名所やおすすめの飲食店を紹介するなど、地元の魅力も発信してきた。

 2年ほど前、知人の誘いで初めて見た長良川鵜飼で、鵜匠の手さばきや景色、歴史に心を引かれた。一方で、船頭不足も知った。

 けがなどを理由に引退した昨年、船頭になると決意して一般採用に応募。面接と実技研修を経て今年4月、正式に採用された。今季の鵜飼が始まった5月11日に船頭としてデビューした。

 鵜飼観覧船事務所の 神山 こうやま聡さん(50)は「最初は冷やかしかなと思ったが、一緒に練習するうちに本気度が伝わってきた」と評価する。

 10月中旬までの今季は計30日ほど乗船する予定。柏木さんは「苦しい時に大好きなサッカーを続けさせてくれた岐阜には感謝しかない。どんどん船に乗って実力を上げ、鵜飼を盛り上げていきたい」と笑顔で話した。

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