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派手な元スパイのおばあちゃんも、チェロの上手なおじいちゃんも……孫たちの心をはぐくむ人生のベテランたち

読売新聞 / 2024年9月2日 15時30分

イラスト・大野八生

親子より 自由に気軽に

 夏休み。おじいちゃんやおばあちゃんと楽しく過ごした子どもたちも多いことだろう。一方、触れ合いのひと時は、大切なメッセージを伝える貴重な機会にもなったのではないか。そんな祖父母と孫のやりとりが、本の中にも見つかった。(近藤孝)

 スウェーデン出身のエンマ・カーリンスドッテル作『おばあちゃんがヤバすぎる!』(静山社)のおばあちゃんは、確かにヤバい。表紙に描かれた派手なTシャツを着て、赤い自転車をこぐ姿は奇抜で、スパイの仕事をしていたと語る昔話も、どこまで信じていいのやら。でも、おばあちゃんは孫のリスベットのことを大切にし、孫も祖母が大好きだ。

 8月31日から小学校に入学するリスベットに、おばあちゃんは「これからはもう夏はこない」と言う。永遠に続くかのような夏でなく、「夏休みがくるんだよ。夏休みっていうのは、あっという間におわっちまうのさ」。好き勝手に絵を描いていたリスベットも、「学校では、先生の決めたものをかかなくちゃいけない」とも。だからこそ、2人は「最後の夏」を満喫する。

 記者も2歳の孫がいるが、父母と祖父母の役割の違いを実感している。両親はしつけもしないといけないが、祖父母は基本的にしつけには無責任でいられる。その代わり、存分に遊んであげると孫は大喜び。「最後の夏」を迎えたリスベットをいとおしく思うおばあちゃんの気持ちがよく分かる。

 米国の作家、パトリシア・マクラクラン著『おじいちゃんの目 ぼくの目』(リーブル)のおじいちゃんは目が不自由だが、孫の男の子には不幸に見えない。においをかげば、花の名前も朝食の献立も当てられる。譜面を見なくても、指が おぼえているのでチェロが弾ける。点字で本も読めるし、テレビは音を聞く。

 五感で感じ取ることの大切さを、目が見えていた頃の感覚や長い人生経験を持つおじいちゃんが伝える。訳者の若林千鶴さんは「きぜわしい世の中で失われてしまったものを、おじいちゃんは孫に教えてくれる。孫もおじいちゃんの世界を大事にしてくれるのがすてきだ」と話している。

 ななもりさちこさんの『となりのじいちゃん かんさつにっき』(理論社)では、小学生のようたが、隣家のおじいちゃんの様子を観察することに。おじいちゃんは、口が悪く顔も怖いが、人が良さそう。昭和の家の作りが気に入り、人情味のある人付き合いも心地よい。疑似的な祖父と孫の関係ができてくるが、経験に根ざしたメッセージを伝えるのはやっぱりおじいちゃん、と納得させられる。

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