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中国軍機が初の領空侵犯、長崎・男女群島沖で約2分間…空自の戦闘機がスクランブルし警告

読売新聞 / 2024年8月26日 23時45分

領空を侵犯した中国軍の情報収集機「Y9」(航空自衛隊撮影)

 防衛省は26日、中国軍の情報収集機「Y9」1機が同日午前11時29分から約2分間、長崎県・男女群島沖の領空を侵犯したため、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)したと発表した。同省が中国の軍用機による領空侵犯を確認し、公表するのは初めて。日本政府は中国政府に厳重に抗議し、再発防止を求めた。

 同省統合幕僚監部によると、Y9は中国方向から飛来し、午前10時40分頃、長崎市の南西約150キロに位置し、五つの主要な無人島からなる男女群島の南東の空域で旋回を開始。同11時29分頃、群島の東から領空に侵入した後、左に旋回して南東方向に進み、同31分頃に領空を出た。その後、群島南の上空で再び旋回した後、午後1時15分頃、中国方向へ飛び去った。

 Y9が領空侵犯する前に、空自の戦闘機が緊急発進して、Y9に対し領空に接近しすぎていると通告した。だが、そのまま領空に侵入したため、退去するように警告した。

 これ以外の特異な行動は確認されず、空自機による武器使用はなかった。同省はY9が呼びかけに返答したか明らかにしていない。

 中国機を巡っては、2012年12月に中国国家海洋局の航空機1機が沖縄県・尖閣諸島の魚釣島近くで領空侵犯した。17年5月にも同島付近で中国海警局の公船の近くを飛行していた小型無人機が領空に侵入した。しかし、軍用機による領空侵犯は初めてだ。同省は中国側の意図は「分析中」とした上で、「日本周辺での軍事活動が拡大・活発化の傾向にある。警戒監視に万全を期す」としている。

 自衛隊が昨年度、領空侵犯をする恐れがある外国軍機などに対して緊急発進した回数は669回。過去10年では最も少ないものの、00年代の平均の約3倍で、高い水準が続いている。昨年度は中国軍機による事例が7割超の479回に上った。

 外務省は26日、岡野正敬外務次官が中国の施泳駐日臨時代理大使を同省に呼び出し、極めて厳重に抗議するとともに再発防止を強く求めた、と発表した。

「小さな変化を重ね既成事実化か」

 元海将補で笹川平和財団の河上康博・安全保障研究グループ長は「日本の対処力を確認しようとした可能性がある。今後も挑発の度合いを上げていく恐れがあり、小さな変化を長期間重ねて既成事実化していく戦略の一環だ」と指摘する。

 ◆領空侵犯=航空機が国際法や当該国の法令に違反して、許可なく他国の領空に侵入する行為。領空は領土及び領海(海岸線から約22キロの範囲)の上空を指し、国際法上、国家は完全かつ排他的な主権を持っている。

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