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中国で「人型ロボット」開発が急拡大、外観は金属むき出しだが80個近い関節…価値観変化で進む少子化も背景に

読売新聞 / 2024年8月27日 7時0分

 【北京=山下福太郎、上海=田村美穂】中国で、人型ロボットの開発や実用化が急速に進んでいる。生成AI(人工知能)を搭載し、工場や商店、家庭など様々な場所で生産性の向上を目指す。中国は生産年齢人口が減少傾向にあり、将来の深刻な人手不足を見据えて政府も「ロボット強国」化を後押ししている。

 北京市で25日まで、ハイテクロボットの展示会「世界機器人大会」が開かれた。中国を中心に10か国超の169社が約600のモデルを出展し、このうち人型ロボットは27種類あった。

 中国のベンチャー企業・四川天鏈機器人が開発した「T1」は、身長1メートル60、体重43キロ。外観は金属がむき出しでロボットそのものだが、80個近い関節を持つ。プログラムに従い、工場での作業や航空機の操縦など様々な用途で利用できる。

 すでに量産化を実現し、販売価格は1体20万~40万元(400万~800万円)という。担当者は「将来はロボットが危険な業務や単純作業を担い、人間は判断が求められる高度な仕事をするという役割分担が進む」と説明する。

 大連市の企業・EX機器人のロボットは、皮膚や髪の毛を忠実に再現し、ほぼ人間に近い姿をしている。生成AIを搭載し、マイクを通して質問すると合成音声でよどみなく答えられる。

 中国のロボット関連企業数は約74万社で、この1年で3割増加した。主に工場の生産ラインで活用され、労働者1万人当たりのロボット数は470台と、10年前の20倍弱に急増している。

 2022年に世界の工場で新たに導入された産業用ロボット約55万台のうち、中国は半数超の約29万台で、2位の日本の約5万台を大きく上回った。茶をいれたり、書道をしたりする特定技能に特化したタイプも実用化の段階に入っている。会場では、医師の代わりに手術をするロボットや盲導犬型ロボットも展示された。

 経済成長に伴い「世界の工場」と呼ばれた中国だが、その立場はインドやアフリカに脅かされつつある。価値観の変化から結婚や出産を望まない若者も多いとされ、少子化が進んでいるためだ。国連の推計によると、中国の生産年齢人口(15~64歳)は15年の10億人をピークに減少し、45年は2割減の8億700万人と見込まれる。

 中国工業情報化省は昨年10月、人型ロボットの量産化を25年までに実現する構想を打ち出した。一方、米電気自動車(EV)大手テスラは26年にも、主に工場での利用を想定した人型ロボット「オプティマス」の販売を目指している。米中はロボット開発でも覇権争いが激しくなりそうだ。

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