1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

領空侵犯 中国は危険な挑発をやめよ

読売新聞 / 2024年8月28日 5時0分

 中国は、海だけでなく空からも日本を威嚇するつもりなのか。日本の主権を侵害する行為は容認できない。政府は領土・領海を守る体制を固め直す必要がある。

 中国軍の情報収集機「Y9」が長崎県・男女群島沖の領空を侵犯した。緊急発進した航空自衛隊の戦闘機が、領空に接近し過ぎている、と繰り返し呼びかけたが、警告を無視して侵入したという。

 過去には、中国政府の航空機と小型無人機がいずれも尖閣諸島周辺の領空に侵入したことはあるが、軍用機の領空侵犯は初めてだ。しかも今回は本土周辺である。中国は挑発の度合いを一段高めた、と言えるのではないか。

 政府が中国に抗議したのは当然だ。領空侵犯に至った経緯について説明を求め、その内容に応じて厳正な措置を取り、再発防止を強く促さねばならない。

 中国軍機が領空を侵犯したのは2分間だった。だが、この空域で2時間以上旋回を続け、自衛隊機から警告を受けていた。誤って領空に侵入したとは考えにくい。

 空自の戦闘機や警戒管制レーダーの能力を試そうとしたといった見方や、岸田首相の退陣表明で「政治空白」が生じている中での日本の防衛体制を見極めようとした、といった指摘も出ている。

 いずれにしても、危険な挑発であることに変わりはない。

 一般に、空は海に比べて軍事衝突につながりやすいとされる。

 領海では、他国の船舶にも無害通航権が認められている。他方、領空にそうした国際法上の規定はなく、航空機が領空に入った場合、直ちに主権を侵害したことになるため、危険度は格段に増す。

 尖閣周辺で中国公船は年々、接続水域での航行を増やし、今では中国海警局の船が頻繁に領海にも侵入するようになった。一方的に自国の権益を主張し、既成事実を積み重ねて実効支配を図ろうとするのは、中国の常とう手段だ。

 自衛隊は、遠方の飛行物体も探知できる空中警戒管制機(AWACS)などを南西諸島周辺で重点的に運用し、中国機に対する警戒監視の体制を強化すべきだ。

 南シナ海では、フィリピンの船が中国海警局の船に繰り返し衝突され、船体に穴が開くなどの被害に遭っている。だが、中国政府は「比側が故意に衝突した」と主張し、非難の応酬が続いている。

 中国が、東シナ海でも無謀な振る舞いを強める可能性はある。日米比などで協力し、対処能力を高めていくことが重要だ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください