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自宅に押し寄せた1m以上の濁流「これほどの大雨は初めて」…中国で水害多発、死者・行方不明は昨年の3倍322人

読売新聞 / 2024年8月28日 8時3分

 中国各地で記録的な大雨が相次ぎ、この半年で300人以上の死者・行方不明者が出ている。気候変動の影響で豪雨災害の被害が拡大しており、社会の安定を最優先に掲げる中国共産党は官製メディアを通じ、迅速な復旧活動をアピールしている。(中国遼寧省葫蘆島 出水翔太朗、写真も)

 東北部・遼寧省の葫蘆島では19日頃から、1日に500ミリを超す記録的な大雨に襲われ、23日時点の死者・行方不明者は20人以上となった。23日に被災地を訪れると、住民は泥だらけになりながら復旧作業を行っていた。60歳代の男性の自宅には、1メートル以上の濁流が押し寄せた。異臭が漂う室内には泥がこびりつき、大量のハエが飛び交う。「40年近く住んでいるが、これほどの大雨は初めて。今後どうやって暮らせばいいのか」と途方に暮れていた。

 中国メディアは連日、インフラ(社会基盤)の復旧状況などを手厚く報じている。地方幹部も相次いで現地入りし、被災者に寄り添う姿勢を打ち出す。

 省トップの 郝鵬 ハオポン・省共産党委員会書記は21日、被災者に対し、「我々は必ずふるさとを元に戻す」と宣言した。 習近平 シージンピン国家主席が被災地の状況について「特別な関心」を持っているとも述べた。被災者の不満が高まり、政権批判に転じないよう神経を使っているものとみられる。

 中国応急管理省の統計によると、今年上半期(1~6月)の洪水や土砂災害などの自然災害による死者・行方不明者数は322人となり、昨年上半期の3倍超に達した。経済損失は931億元(約1兆9000億円)に上る。下半期に入っても、7月末に上陸した台風の影響で湖南省資興で50人が死亡、15人が行方不明となる被害があった。

 気象災害が多発する背景について、中国気象局は地球温暖化の影響を指摘している。同局の研究者は2050年までに気象災害がさらに大規模化するとの見通しを示した上で、「極端な高温や干ばつ、降雨などが増加し、強くなる傾向にある」と警告した。

 中国政府は気候変動に適応した都市建設を進める計画を掲げ、5月には北京や上海など39都市をモデル地区に選んだと公表した。

 インフラの改善を進め、災害に強い都市作りを目指す。ただ、広大な国土のすべてで先進的な対策を行うのは難しく、共産党政権は対応を迫られている。

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