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「出場逃した男子の分まで」車いす女子バスケ、2000年シドニー大会以来のメダル獲得へ闘志

読売新聞 / 2024年8月28日 15時0分

パリ・パラリンピックの壮行会に臨む車いすバスケ女子日本代表の選手たち(5日、東京都北区で)

 パリ・パラリンピックは28日開幕する。花形競技の車いすバスケットボールでは、日本女子代表が2000年シドニー大会以来となるメダル獲得に挑む。東京大会で銀メダルに輝いた男子代表はパリ出場を逃したが、女子は男子の思いを受け継ぎ、30日のオランダとの初戦に臨む。(波多江一郎)

「大暴れしたい」

 「パリで大暴れしたい」。今月5日、東京都内で行われた女子代表の壮行会で、主力の 財満 ざいまいずみ選手(27)はそう決意を語った。6位に終わった前回の2021年東京大会について、「チームに何も貢献できず腹立たしかった」と話し、雪辱を誓った。

 東京大会後、女子チーム「Wing」(神奈川県)に所属しながら、男子チーム「埼玉ライオンズ」(埼玉県)の門をたたいた。男子選手は高さ、スピード、パワー全てで自分を上回る。世界の強豪選手に見立てて、必死に食らいついた。

 埼玉ライオンズには、男子代表エースの 鳥海連志 ちょうかいれんし選手(25)が他チームから練習に参加することもあった。試合形式の練習で財満選手がパスミスをすると、鳥海選手がプレーを止め、コート脇で1対1でアドバイスしてくれた。いいプレーを見せれば、「今のは相手が嫌がるはずだ」と励ましてくれた。惜しみなく改善点を伝えてくれる鳥海選手らとの練習を重ね、財満選手は「スピードや大きさに慣れることができた。運動量で世界と戦いたい」と手応えを感じている。

「東京」で知名度

 パラスポーツで屈指の人気を誇る車いすバスケを引っ張ってきたのは男子代表だ。1976年のトロント(カナダ)大会以降、12大会連続でパラリンピックに出場し、東京大会は過去最高の銀メダルを獲得した。

 日本車いすバスケットボール連盟によると、今年4月時点の選手登録数は男女774人で、東京大会直前と比べ、50人以上増えた。国内大会では大勢のファンが会場に詰めかけるようになり、今月中旬には、関東のトップチームでつくる新リーグも誕生した。

 しかし、男子代表は今年1月、アジア・オセアニア選手権の準決勝でイランに敗れ、パリ大会出場を断たれた。一方、女子代表は4月の最終予選で、応援に駆けつけた男子代表の前で、開催国枠で出場した東京大会に続く2大会連続の出場を決めた。2008年北京大会以来となる自力での出場権獲得で、主将の北田千尋選手(35)は「男子の活躍で知名度が上がり、ファンも増えた。パラ出場で次につなぐ最低限の仕事はできた」と話す。

灯を絶やさぬ

 本番を目前に控えた女子代表には、鳥海選手らから「何もびびることはない。普段通りのプレーで」「頼むわ」などとエールを送られたという。

 パリでは、チームスローガン「Fearless(どんな相手も恐れない)」を掲げ、米国やドイツ、中国など7か国の強豪とメダルを争う。北田選手は「パラリンピックを見て、面白いと思ってくれた気持ちが競技の未来をつくる。車いすバスケの灯を絶やさないためにも、勇敢に心一つにして戦いたい」と意気込んでいる。

100以上の国・地域でプレー

 車いすバスケは、1940年代に米国で発祥したとされ、現在は100以上の国・地域でプレーされている。パラリンピックには、男子が1960年ローマ大会から、女子が68年テルアビブ(イスラエル)大会から正式種目に採用されている。

 使用するコート、リングの高さ、ボールは一般のバスケと同じで、試合は1ピリオド10分を4回行う。公平性を保つため、選手には障害の程度に応じて持ち点(1~4・5)が与えられ、コート上の5選手の合計が14点以下でなければならない。

 車いすをこぎながらドリブルできるが、ボールを持ったまま3回以上こぐと「トラベリング」の反則となる。素早いターンや、片方の車輪だけを浮かせて高さを出す「ティルティング」など、車いすならではの技術も見所だ。

開会式、選手たちがシャンゼリゼ通りをパレード

 パラリンピックの開会式は28日午後8時(日本時間29日午前3時)にスタートする。選手たちはパリ中心部のシャンゼリゼ通りをコンコルド広場に向かってパレードし、沿道で約6万5000人の観客が式典を見守ると予想される。フランス革命の舞台となった同広場では、障害者が音楽に合わせて踊る演出も予定されている。

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