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結成50周年のアルディッティ弦楽四重奏団…数多くの現代曲を初演、活動の軌跡を振り返る

読売新聞 / 2024年8月30日 17時0分

(右から)チェロのルーカス・フェルス、第1バイオリンのアーヴィン・アルディッティ、ビオラのラルフ・エーラース、第2バイオリンのアショット・サルキシャン=青木久雄撮影

 現代音楽の「守護神」として多くの新作を世界初演してきた英国のアルディッティ弦楽四重奏団が、結成から50周年を迎えた。東京・赤坂のサントリーホールで開かれた公演の前に、リーダーで創設者のアーヴィン・アルディッティ(71)にこれまでの軌跡を振り返ってもらった。(松本良一)

 「結成当初はこんなに長続きするとは思っていなかった。雪玉が転がるうちにどんどん大きくなるように、色々な作曲家が曲を書いてくれるようになった」

 ハイドン、ベートーベン以来250年以上の伝統を持つ弦楽四重奏というジャンルに革命をもたらした原動力は、アルディッティの個性とバイタリティーによるところが大きい。「赤ん坊の頃からチューニングをわざとずらしてラジオのノイズを聴くのが好きでね」

 ロンドンの王立音楽院在学中、現代曲が弾きたくて仲間を募ってカルテットを始めた。卒業後の一時期、ロンドン交響楽団でコンサートマスターを務めたものの、「現代音楽への無理解に嫌気が差して」退団。カルテットでもっぱら現代作品を演奏するようになった。

 メンバーは、第1バイオリンのアルディッティのほか、アショット・サルキシャン(第2バイオリン)、ラルフ・エーラース(ビオラ)、ルーカス・フェルス(チェロ)。いずれも現代音楽のスペシャリストだ。

 22日から29日まで行われた、室内楽公演3回にオーケストラとの共演という盛りだくさんのプログラムは、「我々が初演してきた作品の中から、私が特に好きで歴史的にも重要な曲を選んだ」。ハーヴェイ、ラッヘンマン、バートウィッスル、ファーニホウ、クセナキス、マヌリ……。主に欧州の代表的な作曲家のほか、日本の武満徹、細川俊夫や西村朗の曲も演奏した。

 昨年書かれ、日本初演となった細川のピアノと弦楽四重奏のための「オレクシス」は、ピアニストの北村 朋幹 ともきとの出会いから生まれた。「2年前に彼の演奏を日本で聴き、あまりの素晴らしさに作曲家に新作を依頼した」。1981年生まれの坂田直樹の新作世界初演も話題となった。

 4人のメンバーは様々な響きに耳が開かれ、新しいことにチャレンジする気概に満ちあふれている。「少しでも関心があれば、まずは聴いてみてほしい。現代音楽は異質なものではないし、常にクラシックと共存しているのだから」

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