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「安全資産」金の高騰続く理由、世界の政情不安だけじゃない

読売新聞 / 2024年8月28日 21時29分

 【ニューヨーク=小林泰裕】「安全資産」として知られる金の価格が高騰している。国際的な指標とされるニューヨーク市場での先物価格は今月、最高値を更新した。ロシアのウクライナ侵略といった世界の政治・経済情勢の不安に加え、中国やロシアなどの中央銀行による購入の増加が要因だ。

 ニューヨーク市場での金の先物価格(中心限月)の終値は今月12日、史上初めて1トロイ・オンスあたり2500ドル(約31グラムあたり約36万円)を超えた。27日には2552・90ドルまで上昇した。今年に入って2割超高騰しており、この10年では2倍となった。

 金の調査機関ワールド・ゴールド・カウンシルによると、金の需要は「宝飾・アクセサリー」「中央銀行による購入」「投資」「産業用」の4種類に大別される。近年の価格上昇を先導してきたのは、中国やロシアなどの中央銀行による購入の増加だ。2023年の中央銀行による購入量は1037トンで、この10年で6割超増えた。

 08年のリーマン・ショックや、コロナ禍への対応で、米国は大規模な量的緩和を実施し、ドルの価値低下への懸念が強まった。22年のロシアによるウクライナ侵略では、ロシアのドル資産が凍結され、西側諸国による経済制裁のリスクが非西側諸国で意識された。結果的に、ドルの代替資産として金が選ばれるようになった。最近では、中東情勢の緊迫化や11月の米大統領選の行方など、世界の政治・経済情勢の不透明感も金の高騰につながっている。

 金は株や債券と違って利息や配当を生まないが、国や企業といった特定の発行者がおらず、有事の際にも無価値となるリスクが少ないとされる。このため、政治や経済の先行きへの不透明感が強まると、資金の退避先として活用されやすい。金融貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は「金の高騰は投資家の不安の高まりを表している」と指摘する。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は9月から利下げを開始し、米長期金利も低下すると見込まれている。米国債などから得られる利息収入が減るため、相対的に投資先としての金の魅力が増し、年内に1トロイ・オンスあたり2700ドルまで上昇するとの見方もある。

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