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開会式で旗手を務めた石山大輝「同じ障害持つ人に勇気を」、西田杏「自分が泳ぐことに意味がある」

読売新聞 / 2024年8月29日 15時21分

開会式で旗手を務めた西田杏選手(右)と石山大輝選手(28日、パリで)=須藤菜々子撮影

 【パリ=読売取材団】28日のパリ・パラリンピック開会式は五輪と同様、夏季大会では史上初めて競技場外で行われ、華麗なパフォーマンスが披露されるなか、選手たちは堂々と入場した。

 大歓声に包まれたコンコルド広場へと入場する日本選手団を旗手として先導したのは、視覚障害がある陸上男子走り幅跳びの石山大輝選手(24)と、生まれつき左腕と右脚が短い競泳女子の西田 あん選手(27)。パラリンピックでも今大会から選手団の主将が廃止され、2人が日本の「顔」として日の丸を一緒に掲げた。

高1で難病「網膜色素変性症」に…「泣いても治らない」

 松山市出身の石山選手は、パラ陸上に参戦して2年余りで世界トップに仲間入りした期待の新鋭。自他共に認める「明るく、前向き」な性格で、同広場に入ると左手を高らかに突き上げて観客にアピールした。

 陸上を始めた中学の頃から視野の中心部以外がぼやけるようになった。高1で難病の「網膜色素変性症」と診断されたが、「泣いても治らない」と開き直った。日が落ちて暗くなり、周囲がよく見えなくなっても仲間の肩を借りて練習し、3年時には三段跳びで全国高校総体に出た。

大学時代にパラに転向、周囲を盛り上げるのが好き

 症状が悪化した大学時代にパラ陸上へ転向し、すぐに頭角を現した。昨年の世界選手権(パリ)では走り幅跳びで4位に入り、出場枠を勝ち取った。

 周囲を盛り上げることが好きで、今年5月の世界選手権(神戸)では、観客席に手拍子を要求。リズムに乗って日本新(7メートル08)を記録し、銀メダルに輝いた。

 メダルの期待を背負い、「同じ視覚障害を持つ人に勇気や感動を与えられる存在になりたい」と誓う。

競泳の西田杏「自分のような体でも泳げると知ってほしい」

 「自分のような体でも泳げると知ってほしい」。埼玉県所沢市出身の西田選手は、右手で旗のポールを支えながら笑顔で行進した。

 「義足は煩わしい」と、左脚のケンケンで追いかけっこをする活発な子どもだった。小学校の体育の授業で水に浮いて自由に動ける水泳の楽しさに目覚め、高校で水泳部に。パラ水泳の大会にも参加し、バタフライでパラリンピックを目指した。

「パラスポーツへの認知広げたい」

 泳法ルール改正により、「左右対称の動き」で泳ぐことを求められ、左腕も使った泳ぎにフォームを改造するなど苦労を重ねた上で、東京大会に初出場。8位入賞を果たした。

 あれから3年たち、パラスポーツへの関心が薄れかけているのではと感じている。「自らの行動や競技への姿勢で少しずつ認知度を広げたい」と語る。

 力強く水をかく右腕は武器であり、左に曲がってしまう原因でもある。「世界でも少ない、バランスの悪い障害の自分が泳ぐことに意味がある」と意気込む。

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