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高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 繰り返される「猛暑の甲子園」、どれだけ批判されても止められない理由

J-CASTニュース / 2024年8月29日 17時0分

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 繰り返される「猛暑の甲子園」、どれだけ批判されても止められない理由

阪神甲子園球場。「猛暑の甲子園」は、なぜ繰り返されるのか

まず、夏の甲子園高校野球の基礎データを抑えておきたい。正式名称は全国高等学校野球選手権大会(主催:朝日新聞社、日本高等学校野球連盟(高野連))だ。なお、春の選抜大会は高野連と毎日新聞が共催だ。

高野連は財務面で「超優良団体」

高野連の2024年2月期の決算報告書では、甲子園高校野球の入場料収益は14億9756万円となっており、これは公益目的事業となっている。また、公益目的事業の経常収益16億9200万円の89%を占めている。

高野連は、公益目的事業のほかに、収益事業(大会記念品製作・販売など)も営んでいるが、その経常収益はわずか1911万円である。

公益財団法人及び公益社団法人は、その事業が公益目的事業と認定されている場合には、法人税は課税されないので、法人税はほとんど払っていない

もちろん甲子園高校野球の経費もかかるが、12億9627万円であり、差額の約4億円はまるまる高野連の懐に入っている。

その結果、高野連の貸借対照表は、資産20億9225万円、負債7030万円、その差額である正味財産は20億2195万円という超優良団体である。

高野連とマスコミにとって「コストのかからない超優良イベント」

また、甲子園高校野球は、NHKや毎日・朝日放送でテレビ中継されているが(編注:春は毎日放送(MBS)、夏は朝日放送(ABC)が中継)、高野連の決算報告書には放映権収入はない。つまり、あれだけ視聴率を稼げる番組なのに放映権料なしである。ということは、テレビ局にとってこれほど「美味しい」話はない。

以上をまとめると、甲子園高校野球は、高野連とマスコミ(NHK、朝日新聞・放送、毎日新聞・放送)にとって、コストのかからない超優良イベントになっている。

ちなみに、野球以外のほとんどの高校スポーツの最大競技イベントであるインターハイ(全国高等学校総合体育大会)を見てみよう。これを主催する公益財団法人全国高等学校体育連盟(高体連)の24年3月決算をみると、公益事業収益は1億7383万円であり、大雑把に言えば、甲子園高校野球の10分の1にすぎない。いかに甲子園高校野球が高校野球スポーツの中で図抜けているかがわかる。なお、高体連の正味資産は1億円に満たない9633万円で、高野連の20分の1だ。

こうなると、どれだけ批判されても甲子園高校野球はもう止められない。

夏の甲子園野球について、校歌がどうとか言われているが、筆者のXのポストは「甲子園高校野球について。いろいろ流れてくるが、所詮甲子園高校野球は高野連と朝日新聞の金儲けビジネスなんだから、なんだかなあという感想しかない」。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。

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