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「違い」に価値、パラリンピックの核心…IPC会長「いまだ戦争続くのは人類の恥」

読売新聞 / 2024年8月30日 0時33分

開会式で披露されたパフォーマンス(28日、パリで)=須藤菜々子撮影

 28日夜(日本時間29日未明)に行われたパリ・パラリンピック開会式は五輪に続き、夏季大会では初めて競技場外が舞台となった。コンコルド広場のステージでは車いすや手足に障害のあるパフォーマーらがダンスを披露し、上空では飛行機がスモークを使ってトリコロールカラーを描いた。大勢の観衆が見守る中、選手たちはパリ中心部のシャンゼリゼ通りをパレードした。

 時のかなたで、幾多の命が断頭台の露と消えた広場。そこにたたずむオベリスクに、映像が投影されていく。画一的な私たちの社会が、障害という違いを受け入れ、豊かで創造的になっていくメッセージだ。革命の広場から「今度は『包摂』という、違いに価値を見いだす革命を起こしたい」。国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長が言う。

 約2年半前、コロナ禍の北京冬季大会には、ロシアのウクライナ侵略開始という、更に暗い影が落ちていた。パーソンズ会長は開会式で「平和!」との叫びに思いの丈を込めた。今も戦禍は続き、世界をその余波が覆っている。「いまだに戦争を終わらせることができていないとは、人類の恥だ」。選手たちを見て大切なことに気付いてほしい、と。

 夕焼けの 凱旋門 がいせんもんを背にした選手入場行進。車いすの女性が両手を振れるよう、後ろから押す義足の男性。視覚障害の選手が仲間に触れながら談笑して歩く。違いを受け入れて当然のように助け合い、工夫してリズムを取り、今を楽しむ姿だ。「何らかの『障害』を持たない人はいない」。それにどう向き合うかが、生き方と社会のあり方を決める――。仏選手団の旗手を務め、仲間と肩を組んで歌いながら旗を振り続けた、アレクシ・アンカンカン(男子トライアスロン)は言う。

 違いに価値を見いだすこと。それはパラリンピックが伝える核心であり、平和につながる一歩でもある。選手たちの活躍が私たちの心を開く時、それが革命の小さな灯になる。(結城和香子)

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