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「反復横跳び毎日100往復」…卓球の友野有理、まひ残っても鍛えたフットワークで中国勢に挑む

読売新聞 / 2024年8月30日 6時39分

パリパラリンピックの卓球混合ダブルス2回戦、鍛えたフットワークを生かしてプレーした友野有理(左)と岩渕幸洋(29日)=ロイター

 パリパラリンピックの卓球競技が29日始まり、右半身が不自由な友野有理(24)は混合ダブルス(立位17)に岩渕幸洋(29)と組んで出場。右半身が不自由ながら、強化したフットワークを武器に、1回戦を圧勝するなど軽快なプレーを見せた。このフットワークこそ、友野の3年間の努力と進化の証だった。(デジタル編集部 池田亮)

 第11シードの岩渕・友野組は1回戦、第23シードのルーマニアペアに対しわずか17分でストレート勝ち。続くベスト8をかけた2回戦では、第7シードのブラジルのペアと対戦し、第2ゲームを奪ったものの競り負けた。

試合中に突然、脳梗塞に

 友野は小学5年生の時、突然の病に襲われた。卓球の全国大会の試合中、対戦相手に「お願いします」とあいさつをしようとしたところ、ろれつが回らなくなり、その場に倒れた。

 意識を取り戻したのは、病院のベッドの上。脳梗塞だった。父・博行さん(64)は「まさかうちの子が……」と言葉を失った。

 右半身にまひが残ったものの、数か月後には週1回、自宅に帰れるようになった。自宅に置いた卓球台は、脳梗塞で倒れる前のまま。博行さんは「卓球で倒れただけに、どう思うかな」と迷いながらもリハビリになればと思い、尋ねてみた。

 「気晴らしにやってみるか?」

 ラケットを左手に持ち替えても、それなりに打てた。友野本人は「卓球をきらいにならなかったし、中途半端に終わりたくなかった。早く練習しないと、友達に負けてしまうと思っていた」と振り返る。だが、健常者のなかで戦うのは難しく、中学生になるとパラ卓球に転向した。

「障害を言い訳にしない」

 力をつけた友野は、東京パラリンピックに出場。しかし、準々決勝で中国の黄文娟に敗れた。多くの国際大会同様、「中国の壁」にはね返された。

 雪辱を果たすべく、東京大会後に強化したのがフットワークだ。それまでは台の中央に張り付き、手の届く範囲で戦ってきた。だが東京大会で銀メダルを獲得した黄は、自分より障害が重いのにフットワークを生かして打ち込んでいた。

 「壁を越せないのは、障害のせいではなく、技術が足りないから。障害を言い訳にしたくない」。自由がきかない右足に装具をつけ、反復横跳びを毎日100往復、自転車型のマシンを何時間もこいだ。障害のせいでできないと考えず、できることがあるなら少しでもやろう。そう意識を変えた。「それまでは自分に甘かったのかも」。今ではそう思えるようになった。

 ラリーに自信をつけた友野は、3月の国際大会で世界ランキング1位の選手に初めて勝利。黄とも互角に戦えるまでになった。1年半前から指導する村上祥コーチ(38)も「使っていなかった身体能力を生かせるようになり、伸びしろも大きい」と手応えを語る。

 残るシングルスでの戦いに向けて友野は「しっかりと調整して、1戦1戦がんばりたい」。磨いたフットワークをより発揮できるシングルスは9月1日から始まる。

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