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ボッチャ有田正行に「世界一の味方」…妻・千穂さんと共に戦う初のパラリンピック

読売新聞 / 2024年8月30日 10時25分

ランプを駆使しボールを投じる有田正行(2023年10月撮影)

 パリパラリンピックのボッチャ競技は29日、個人戦1次リーグがスタートした。脳性まひと運動機能障害のあるクラス(BC3)では、ランプオペレーター(RO)と呼ばれる介助者が、樋のようなスロープ「ランプ」を使って選手の投球を補助する。ROと選手は、一心同体となってメダルを目指している。(デジタル編集部 池田亮)

 例えば、パラ初出場の有田正行(44)のROは、10年連れ添う妻・千穂さん(41)。この日は、世界ランキングで上位のブラジルの選手相手に、最終第4エンドで逆転勝利を収めた。

 ROは選手が狙ったコースに狙った強さで投球ができるよう、スローイングボックス内の選手が指示した位置にランプを配置。選手の意向を細かく聞きながら投球方向を定め、選手が押し出す高さにボールをセットする。いわばボールを投げる選手の「腕」を一緒に操作しているようなものだ。

 この間、ROが選手にアドバイスをしたり、コートを振り返って状況を確認したりすることはできない。振り向いたと判断されると、相手側に追加投球が与えられてしまう。ただ、ROは指示待ちでは務まらない。選手と戦術を共有し、実力を出し切れるように自らも試合展開を類推しながらサポートを行う。

 そんなROと選手はいわば、それぞれの役割を担うチームメートのようなもの。だから、ROは健常者でもメダル授与の対象になる。

 千穂さんは、試合中に有田の眼球の動きをじっと観察し、コートの状況を考えるという。「目の動きで、現状が優勢か劣勢か、試合の組み立てに困っているかなど、ある程度分かります」

 さらに、投球後の目を見ていれば、狙いが正しかったのかも想像がつくのだそう。以心伝心の関係が必要で、夫婦は有利とも言えそうだ。

 一方で、選手が判断を間違えることもある。試合中に意見が合わなかったらどうするのか。千穂さんはきっぱりと言う。「私は夫がした選択をすべて受け入れます。そしてコートに立ったら、世界一の味方でいると決めています」

 初戦を白星で終えて、取材エリアに姿を見せた有田は「しっかり戦うことができたことに感謝したい」とホッとした表情。千穂さんは、そんな夫を、穏やかな表情で見つめていた。

 この日、BC3クラスでは 一戸 (いちのえ)彩音(18)とROの父・賢司さん(56)も初戦に臨み、ペルーの選手に5―1で勝利。一戸は「コートに入ったら緊張を忘れ、徐々に自分のプレーができた」と笑顔で語った。

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