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女子テコンドー難民選手がパラ初の歴史的メダル…タリバンに翻弄された競技生活も希望と信念捨てず

読売新聞 / 2024年8月30日 11時54分

パラ難民選手団として初めてメダルを獲得したザキア・フダダディ選手(29日、パリで)=木佐貫冬星撮影

 パリ・パラリンピックのテコンドー女子47キロ級で、難民選手団のザキア・フダダディ選手が29日、銅メダルに輝いた。難民選手団が初結成された2016年のリオデジャネイロ大会以降、パラリンピックでメダルを獲得したのは初めて。難民選手にとっては、パリ五輪に続く快挙となった。

 アフガニスタン出身のフダダディ選手は、女性に対する抑圧で知られるイスラム主義勢力タリバンに 翻弄 ほんろうされた競技生活を送ってきた。3年前の東京大会では、アフガン初の女性パラアスリートとして出場が決まっていた。だが、大会直前にタリバンがアフガン全土を掌握し、参加が危ぶまれる状況に陥った。ビデオメッセージで世界に助けを求め、フランス政府などの支援で参加が実現した。

 母国には戻れず、フランスに逃れる道を選ばざるを得なかった。言葉も通じない中、一時は家族と離ればなれの生活で、身の危険を感じるような脅迫も受けた。それでも、自分を強くしてくれたテコンドーを諦めたくなかった。

 「希望と信念があったからこそ東京に、そしてパリにたどり着くことができた」と振り返る。

 この日の試合では、“地元”の大歓声も味方に付けた。毎試合で「ザキア」コールがわき起こった。

 フダダディ選手は「メダルを取るのが夢だった。きょう私は夢の中にいる」と言葉を弾ませた。一方で、苦境に取り残された人々にも思いをはせ、「このメダルを全世界に贈りたい。私の国にも、世界中のすべての少女、女性、難民たちにも、自由が訪れることを願っている」と述べた。

 子どもの頃、いじめを避けるためにスカーフで左手の障害を隠していた少女は、苦難を乗り越えて夢を実現し、世界の大舞台で新たな歴史を切り開いた。(森井雄一)

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