1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

「アンバランスな体ではバランスが取れる」…非対称な泳ぎを突き詰め、鈴木孝幸が37歳の新境地

読売新聞 / 2024年8月30日 11時49分

金メダルへのスタート--。男子50メートル平泳ぎで号砲と共に飛び込む鈴木孝幸(29日)=須藤菜々子撮影

 パリ・パラリンピックは第2日の29日、競泳の男子50メートル平泳ぎ(運動機能障害SB3)決勝が行われ、鈴木孝幸(37)(ゴールドウイン)が48秒04で金メダルを獲得した。腕の使い方や呼吸法など、試行錯誤の末につかんだパラリンピック通算11個目のメダルだった。

 周りに目もくれず、水をかいた先に快挙が待っていた。鈴木が16年ぶりに日本記録を更新して金メダル。「いろんな試みの積み重ねが記録に表れた。うれしかった」と、普段はクールな男が両手を高く掲げて喜びをあらわにした。

 スタートで鋭角に飛び出した勢いを推進力につなげ、浮き上がりから抜け出した。中盤までは4ストロークに1回の息継ぎを徹底し、後続に迫られた残り15メートル付近からは6ストロークに1回に転換。再び4ストロークに1回に戻し、最後の5メートルは息継ぎなしで必死に水をかいた。「練習でやる限りその方が速い」と試行錯誤の末にたどり着いた呼吸法で先頭を守り切った。

 平泳ぎは2008年から自己ベストを破れなかったが、約1か月半前にひじから先がない右腕の使い方を変えたことで転機が訪れた。

 従来は健常者のような左右対称の動きに執着したが、両腕の長さが違う鈴木にはここに問題があった。映像などから右腕が伸びきらずに泳ぎが崩れるケースがあると判明し、対策として「右腕を腕1本分ほど内側に入れて水をかく」泳ぎに修正。動きは非対称になったが、「このアンバランスな体ではバランスが取れる」。特性に合った泳ぎを突き詰めた結果、37歳でまた新たな境地にたどり着いた。

 金を取っても感慨に浸ることはなく、「あしたも朝からレース。早く帰って寝たい」と自然体を崩さない。個人4種目とリレーにも出場予定のベテランに、メダル量産の予感が漂う。(森井智史)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください