イラン、高濃縮ウランを２２・６キロ増産…蓄積量は核爆弾の４個分

イランの国旗＝ロイター

　【ベルリン＝中西賢司】イランが核爆弾の原料にもなる高濃縮ウランを増産したことが２９日、国際原子力機関（ＩＡＥＡ）が理事国に配布した報告書で判明した。

　読売新聞が入手した報告書によると、濃縮度６０％ウランの蓄積量は８月１７日時点で推定１６４・７キロと５月時点と比べて２２・６キロ増えた。ロイター通信は、兵器級の９０％まで濃縮すれば核爆弾の４個分近くに匹敵する量にあたるとしている。イランは核武装の意図を否定しているが、報告書では、非核兵器国でこれほど高濃度のウラン濃縮を続ける国はイラン以外にないと指摘している。

　イランによる核武装の懸念を受け、２０１５年、米欧などが核関連の制裁を解除することと引き換えにイランがウラン濃縮の大幅制限などを受け入れる「核合意」が発効した。だが、イランは、離脱した米国が独自制裁を再発動させたのを契機に合意の履行停止を宣言した。

　イランでは欧米との対話方針を掲げる大統領が就任しており、核合意再建に向けた交渉が再開されるかどうかが焦点となっている。