1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

コシヒカリより猛暑に強い「新之助」…新潟県がコメ品質低下に備え開発、歌舞伎俳優のCMで知名度上昇も狙う

読売新聞 / 2024年9月2日 15時22分

 地球温暖化で夏の猛暑がより深刻となる中、暑さに強いコメ品種として新潟県が開発した「新之助」への注目が高まっている。今年の収穫期はこれから迎えるが、ブランド力は主力のコシヒカリほど高くないため、県はPRに力を入れて農家に導入を促す方針だ。(服部牧夫、甲斐史子)

今年初の緊急情報

 新潟県は8月26日、今年初の「異常高温・高飽差緊急情報」を発表した。県内のコメ農家に対しては、台風10号の影響による気温上昇に備え、状況に応じて速やかに収穫するよう勧めている。

 特に懸念されるのは、新之助に先行して導入され、収穫期を間近に控えた 早生 わせの高温耐性品種「こしいぶき」の米粒に亀裂が入る被害だという。

 県農林水産部の担当者は、「昨年のように障害が相次ぐ状況ではないが、今後の気象には注意が必要だ」と注意を呼びかける。

 2023年産米は猛暑により大打撃を受けた。特に主力の県産コシヒカリは1等米比率が4・7%へと落ち込み、全国平均の60・9%を大きく下回った。

 魚沼、南魚沼市でコメを生産する関隆さん(72)は「昨年は出穂期に異常な高温、渇水に見舞われた。今後も高温傾向が続くと思うが、毎年品質低下を気にしないといけなくなる」と危機感を示す。

猛暑日2倍以上に

 気象庁によると、最高気温が35度以上の猛暑日は新潟県内でも増えている。1950~99年は年平均1・76日だったが、2000~23年は平均3・96日と2倍以上になった。

 17年に広く販売が始まった新之助は、高温による米の品質低下などに備えて新潟県が開発した。猛暑でも高品質を維持でき、成熟期がコシヒカリより1週間程度遅いため、天候によるリスクの分散にもつながる。

 新之助の23年産米は、他の品種が深刻な猛暑の影響を受ける中、1等米比率94・7%と高い品質を保った。コシヒカリの4・7%や、こしいぶきの13・3%と比べ突出している。

 新潟産コシヒカリは数年に1度、1等米比率が20%台へと大きく落ち込む。一方、新之助は16年産以降、最も低い年でも21年の88%だった。23年までの8年間の平均は95・2%で、新潟産コシヒカリの64・8%を大きく上回る。

歌舞伎俳優を起用

 専門家で構成する県の研究会は、昨年の品質低下を受けて対策を検討した。その結果、コシヒカリを中心に高品質米を安定供給する方針を堅持しつつ、将来的には「高温耐性品種を中心とした品種構成」に転換することを提言した。

 南魚沼市の農業法人「桑原農産」の桑原真吾さん(37)は近年、コシヒカリの栽培を減らし、新之助を増やしている。一方でコシヒカリのブランド力の強さも実感しており、「暑さに強いコシヒカリへの改良も期待したい」と話す。

 新潟県は、新たに新之助の栽培を始める農家を後押ししている。県内の作付け比率は、コシヒカリが19年産米の66・0%から23年産米は62・6%に減少した一方で、新之助は1・9%から4・0%に増えている。

 ただ、新之助の認知度は高くないのが現実だ。県は、歌舞伎俳優の八代目市川新之助さんを起用したテレビCMを放映するなどPRに力を入れる。担当者は「新之助をコシヒカリと並ぶ新潟米のトップブランド銘柄として全国に定着させたい」と話している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください