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難病抱える61歳でも毎日筋トレ・4時間走り込み…伊藤智也、車いすとともに進化続け「銅」

読売新聞 / 2024年8月31日 19時28分

陸上男子400メートルで銅メダルを獲得した伊藤智也選手(30日、サンドニで)=古厩正樹撮影

 【パリ=松本慎平】30日のパリパラリンピック。2004年アテネ大会から戦う「車いすの鉄人」伊藤智也選手(61)が、雨のトラックを疾走し、陸上男子400メートルで銅メダルを獲得した。東京大会は、障害の程度が1段階軽いクラスに変更されて惨敗。「もうパラで走ることはない」と覚悟したが、パリ大会前に再変更され、大舞台に戻ってきた。夏冬通じて日本勢で最年長のパラリンピック・メダリストという快挙に「ただただうれしい」と息を弾ませた。

 難病の「多発性硬化症」を患う。下半身のまひのほか、年々症状が進行する左腕のしびれと闘いながら4大会に出場してきた。金銀合わせて五つのメダルを取り、12年ロンドン大会後、一度は現役から退いた。

 復帰したのは17年。競技用車いす(レーサー)開発を計画していた工業デザイン会社「RDS」(埼玉県)の杉原 行里 あんり社長(42)に「専用レーサーを作るから乗ってほしい」と頼まれた。東京大会に最新鋭のレーサーで臨み、金メダルを狙うプロジェクトに参加した。

 ただ、21年東京大会は直前に障害の程度が軽いと判定された。クラスがT52からT53に変更され、400メートルは予選落ちした。予選のタイム57秒16はT52で銅メダル相当だったが、T53の優勝タイム46秒61からは大きく遅れた。

 「もう国内でも勝てない」。所属企業の支援打ち切りを覚悟したが、大会後、意外なことを言われた。「関係ない。限界まで行きましょう」。「自己ベスト更新」を目指すことを条件に、契約を続けることになった。

 「マシンが進化しても『エンジン』に相当する自分が諦めたらダメだ」。レーサーでの走り込みを1日4時間、週5ペースで行い、筋トレも毎日欠かさず、競技レベルを維持した。

 左腕のしびれの悪化を受け、改めてクラス分けの手続きを進めると、今年6月のスイスの国際大会で元のT52に戻った。400メートルと100メートルで、前月の世界選手権(神戸)の銅メダルと銀メダルに相当するタイムを出し、滑り込みで代表入りした。特に100メートルの17秒40は、自身5年ぶりの自己ベスト。支援契約続行時の「約束」を果たした。

 再び最新レーサーで臨んだ今大会。決勝は会心のスタートダッシュだった。後半は「背骨が折れたんちゃうか」という激痛で失速したが、3位を死守した。

 「東京からの3年間は一度も諦めず、だからこそ戻ってこれた」と胸を張り、こう誓った。「残る(種目の)100メートルは背中が痛かろうが全開で行きます」

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