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すし職人や仲買人から好評「希少魚・カイワリ×南房総特産マアジ」のハイブリッド魚、来年出荷目指す

読売新聞 / 2024年9月2日 15時57分

「世界一旨い魚を創り、お客様に届けたい」と話す細谷さん

 東京海洋大発のベンチャー企業「さかなドリーム」が岩井富浦漁業協同組合と協業し、アジ科の希少魚・カイワリと南房総特産のマアジを掛け合わせた新しいハイブリッド魚の養殖に乗り出した。来年春から夏にかけての出荷を見込んでおり、関係者は「新たな特産品に」と期待している。(当間敏雄)

 「さかなドリーム」は千葉県館山市で昨年7月3日に創業された。共同創業者には東京海洋大の吉崎悟朗教授(58)と森田哲朗准教授(47)、元商社マンの細谷俊一郎さん(32)、元飲料メーカー社員の石崎勇歩さん(33)の4人が名を連ねる。

 吉崎教授は海洋生物資源学の権威で、革新的な生殖幹細胞の操作技術で世界を 牽引 けんいんしてきた。森田准教授も魚類の生殖工学や飼育・養殖技術分野で活躍する。

 市場開拓の経験を持つ細谷さんと石崎さんは、事業運営を担当。代表取締役CEOは細谷さんが務め、本社は大学の研究施設がある館山市に置いた。

 目指すのは「世界一 うまい魚を創り出し、お客様の元へ届けること」。世界の食用魚介類の消費量は半世紀で4倍に増加したものの、日本の漁業生産量は最盛期の3分の1に減少し、既存の養殖業も収益性が低いという課題を抱える。同社は養殖魚種の拡大と品種改良によって、これらの課題を解決することを目標に掲げる。

 実現に向けて白羽の矢が立ったのが、「 清々 すがすがしい脂乗り」が評判のアジ科のカイワリだ。希少魚種で「幻の魚」とも呼ばれる。

 同社はカイワリの生殖幹細胞をマアジに移植するなど最先端の技術を活用して、味が良くて養殖しやすいハイブリッド魚「カイワリ×マアジ」の開発に成功した。事前に試食したすし職人や豊洲市場の仲買人からは「おいしい」「販売が始まったら、すぐに扱いたい」と好評だったという。

 養殖に向けて同社は、区画漁業権を持つ地元の岩井富浦漁協に協業を打診。同漁協に稚魚を育ててもらい、成魚を引き取って販売することで合意した。養殖用のいけすは同社が準備し、養殖のコストも負担する。同漁協の鈴木直一組合長(76)は「雇用拡大や観光面、飲食業への効果も期待でき、にぎわい創出につながる」と期待する。

 2基のいけすは富浦漁港から数百メートルの沖合に設置され、7月に3000~4000匹の稚魚が放流された。来年春から夏にかけての市場投入を目指しており、細谷さんは「市場の反応が楽しみ。新たな特産品になれば」と意気込んでいる。

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