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部数減に人手不足&用紙代高騰...夕刊休止の波、東京にも 朝日は九州・山口で全廃へ

J-CASTニュース / 2024年8月31日 9時0分

部数減に人手不足&用紙代高騰...夕刊休止の波、東京にも 朝日は九州・山口で全廃へ

東京新聞を発行する中日新聞東京本社。東京新聞の夕刊は23区内のみ継続される

全国的に夕刊が姿を消す流れは、この秋も続きそうだ。東京新聞は2024年8月いっぱいで東京23区以外で夕刊の配達を取りやめるのに加えて、9月から5年5か月ぶりの値上げに踏み切る。

全国紙では、朝日新聞が9月いっぱいで静岡、山口、福岡の3県で夕刊の発行をやめる。朝日としては、九州・沖縄と山口県を管轄する西部本社管内から夕刊が姿を消すことになる。日本経済新聞も、同じタイミングで北九州市周辺と下関市で夕刊をやめる。

速報性に劣ることなどから朝刊しか購読しない家庭も多く、これに用紙代や燃料費などの経費増加、配達のための人手不足などが追い打ちをかけている。

朝刊12万0248部あるのに夕刊2万2431部......深刻すぎる「セット割れ」

部数が右肩下がりで推移する新聞の中でも、夕刊は特に下げ幅が大きい。日本ABC協会がまとめた都道府県別部数によると、東京新聞朝刊の24年4月時点の部数は35万5001部に対して、夕刊は10万3520部。10年前と比べると、朝刊は30.6%、夕刊は47.9%減少している。

東京新聞の夕刊は都内の部数が6万6887部で、そのうち23区内が4万9700部。つまり、9月からは夕刊の発行を半減させる形だ。過去に大手紙が首都圏で夕刊の発行をやめた例としては、02年の産経新聞が知られている。

九州・山口でも夕刊が姿を消しつつある。朝日は8月2日の紙面に掲載した社告で、10月1日から福岡県と山口県で夕刊の発行を休止すると発表。「新聞用紙など原材料の高騰や、みなさまにお届けする経費の上昇」に加えて、「朝刊のみ購読を希望する方や、本社のデジタルサービスを利用する方」が増えたことが背景にあるとしている。これで、朝日の西部本社管内から夕刊が姿を消すことになる。

両県での朝日夕刊部数は、福岡が2万2431部、山口851部。福岡は福岡・北九州の両都市圏がほとんどで、山口では下関市が100%だ。朝刊は福岡12万0248部、山口6万6989部。 社告で「朝刊のみ購読を希望する方」に言及しているように、新聞業界では、朝刊または夕刊の片方しか購読しない「セット割れ」が問題化してきた。朝夕刊両方をセットで購読する「セット率」をみると、福岡18.6%、山口1.3%だ。

日経は対象エリアに折り込んだ「挨拶状」で発表

日経も朝日と同じタイミングで、北九州市、隣接する中間市、遠賀郡、山口県下関市の4自治体で夕刊を休止する。8月22日、対象エリアの夕刊にビラとともに折り込まれた「挨拶状」で明らかにされた。そこでは、夕刊休止の理由を

「物流における人手不足、労務問題の深刻化に伴い、夕刊の宅配網の維持が厳しさを増しており、北九州・下関地区での発行体制の変更をお願いせざるを得ないと判断いたしました」

と説明している。

福岡県内の日経夕刊の部数は1万4866部。そのうち福岡市が8462部と56.9%を占める。県内で休止対象になったエリアの部数は、北九州市2324部、中間市32部、遠賀郡148部。下関市は326部だった。

10月以降、読売新聞、毎日新聞、地元紙の西日本新聞の3紙が北九州市で夕刊を継続する。それぞれの部数は1万0728部、1万2190部、2313部。西日本は日経よりも部数が少なく、風前の灯火だ。

全国的にみると、現時点で朝夕刊の両方を発行しているブロック紙と県紙は、河北新報(宮城)、東京新聞(東京)、北陸中日新聞(石川)、北國新聞(石川)、中日新聞(愛知)、京都新聞(京都)、神戸新聞(兵庫)、西日本新聞(福岡)の8紙を残すのみだ。

毎日&産経が富山の次に配達やめるのは......?

夕刊に限らず、紙媒体の発行から事実上撤退する動きも加速している。夕刊紙として発行されている日刊ゲンダイは8月3日付(2日発行)の紙面で、8月4日をもって「群馬県および栃木県の一部エリア」で販売を休止することを発表。発表では休止の理由は書かれておらず、郵送やデジタル版での購読を呼びかける内容が掲載されている。

朝刊が届かなくなる地域もある。毎日新聞は7月17日、9月末で富山県内での配送を休止することを発表。産経新聞は8月10日、富山県での産経新聞、サンケイスポーツ、夕刊フジの発行を9月末で休止すると発表している。

富山県内の両紙の部数は毎日683部、産経245部。本土から空輸している沖縄を除く46都道府県の中で最も少ない部数だ。

沖縄を除き、富山に次いで両紙の部数が少ない県は、毎日が高知(952部)、石川(1077部)。産経が石川(272部)、佐賀(438部)だ。いずれも、地元紙が大きなシェアを占める地域だ。

(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)

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