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ドイツで厭戦気分広がる、ウクライナ支援反対の右派・左派新党が台頭…州議会選挙から国政波及か

読売新聞 / 2024年9月1日 15時15分

バート・フランケンハウゼンで開かれたAfDの選挙集会でウクライナ軍事支援などを批判するヘッケ候補=25日、中西賢司撮影

 【ベルリン=中西賢司】ドイツ東部チューリンゲン州とザクセン州で9月1日、州議会選挙が行われる。世論調査では右派の「ドイツのための選択肢」(AfD)と左派新党「ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟」(BSW)が国政3与党をしのぐ勢いがある。両党はロシアの侵略を受けるウクライナへの武器供与反対を掲げ支持拡大につなげており、 厭戦 えんせん気分が広がるドイツの現状が浮き彫りになっている。

 「我々は核戦争の瀬戸際に立たされている。すぐ停戦すべきだ」。チューリンゲン州の町バート・フランケンハウゼンで25日に行われたAfDの集会に出席したビョルン・ヘッケ候補が語気を強めると、喝采が上がった。

 ヘッケ氏はナチスに近い思想を持っているとして、当局が「極右過激派」と認定する人物だ。それでも、支持者のミヒャエラさん(51)は「すべてに賛同しているわけではないが、政府への不満を代弁してくれるのは彼らだけだ」と意に介さない様子だ。「ヘッケを首相に!」と書かれたTシャツ姿の支持者ら約400人が詰めかけた集会は、ドイツを列強の地位に高めた19世紀のプロイセン国旗が翻っていた。

 最新の世論調査によると、AfDは同州で支持率が30%とトップで、初の第1党を視野に入れる。ザクセン州でも国政最大野党のキリスト教民主同盟(CDU)と接戦を演じ、2ポイント差で追っている。

 チューリンゲン州では旧東ドイツの社会主義統一党(共産党)の流れをくむ左派党が、ザクセン州ではCDUがそれぞれ第1党で、州首相ポストを握る。AfDは両州で第2党となっている。旧東独地域で、右派と左派が支持を集めるのは、1990年のドイツ統一後も残る東西格差を解消できずにいる主要な既成政党への不満をすくい上げていることが要因との見方がある。

 両州で3位につけるBSWも躍進が確実視される。テレビで活躍し知名度が高いザーラ・ワーゲンクネヒト党首が左派党を離党し1月に旗揚げしたばかりだが、ウクライナへの武器供与の即時停止とロシアとの終戦交渉を求め、浮動層をつかんでいる。

 世論調査では、両州でウクライナ支援の削減を支持する人は57%と過半数を占める。BSW支持者の男性(37)は「死傷者をこれ以上出さないために停戦を急ぐべきで、武器供与は逆効果だ」と主張する。

 ザクセン州でAfDの猛追を受けるCDUのミヒャエル・クレッチマー州首相は「ウクライナへの支援は必要だが限界に達しつつある」と述べ、削減を公然と唱えている。無視できない勢力となった「反戦派」を意識した発言とみられる。

 両州とも単独で過半数に届く政党はない見込みで、連立交渉が焦点となる。主要政党はAfDとの協力を否定しており、BSWがキャスチングボートを握る展開も取りざたされる。連邦制のドイツでは16州が強い権限を握っており、今回の選挙結果は国政にも波及しそうだ。

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