ＳＬ人吉、熊本市離れ北九州市へ…移送前最後の様子を報道陣に公開

移送前の最後の様子が報道陣に公開されたＳＬ人吉

　ＪＲ九州は１日、営業運転を３月に終えた観光列車「ＳＬ人吉」を保管している熊本市西区の熊本車両センターで、最後の様子を報道陣に公開した。長年愛されてきた蒸気機関車（ＳＬ）は見学会が行われる北九州市に移送され、人吉市への無償譲渡に向けた準備に入る。（中村由加里）

　ＳＬ「５８６５４号機」は夕方、出発を前にセンターの車庫から出された。自走することはできないが、ディーゼル車でけん引されてゆっくりと線路に移動した。

　１９２２年（大正１１年）製造。２００９年から「ＳＬ人吉」として運行され、多くの鉄道ファンに愛された。老朽化などのため今年３月にラストランがあり、地元での保存・展示を要望した人吉市への譲渡が決まった。

　ＳＬは北九州市の小倉総合車両センターに移された後、２、３日に現地で見学会が行われる。事前に申し込んだ参加者が、工場内での移動や夜に前照灯が点灯する様子を見ることができるという。

　見学会の終了後、ＳＬは解体、清掃作業を経て人吉市に運ばれる。市はＪＲ人吉駅前の駐車場に展示する方針で、ＳＬが製造された１１月にお披露目する予定。