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雨天のライドシェア低調、アプリ未対応やドライバー不足で「運行実績ゼロ」相次ぐ

読売新聞 / 2024年9月2日 7時3分

 個人が自家用車に客を乗せる「日本版ライドシェア」を巡り、国土交通省が7月以降に打ち出した雨天や酷暑時の運行拡大策が思うように進んでいない。未対応の配車アプリが多い上、ドライバーが十分に集まらないという課題も浮上。全国で「運行実績ゼロ」の会社が相次いでいる。

開発には時間

 4月に始まった日本版ライドシェアは、タクシーが不足する時間帯に限って運行できる仕組みだ。稼働できる時間帯に制約があり、需要が急増する雨天時などの車両不足に対応できていないとの指摘があった。

 このため国交省は7月以降、雨天や酷暑時にライドシェア車を運行できる時間枠などを拡大する規制緩和を実施。ただ、今のところ台数増の効果は限られているようだ。利用客の依頼に対してどのくらい配車できたかを示す「マッチング率」は、雨の時間帯に大幅に下がる傾向が続き、東京では30%台まで低下することもある。

 本紙がライドシェアを運行する会社に取材したところ、新興企業「newmo(ニューモ)」とタクシー会社「エムケイ」は8月30日現在、雨天や酷暑時に車両を増やした実績はゼロだった。ライドシェアの提供に必要な配車アプリが雨天時の時間枠拡大などに対応していないことが要因の一つだ。

 ライドシェアを手がけるタクシー会社は、大手アプリ会社の「GO」や「ウーバー」、「ディディ」「エスライド」などと提携して配車する。このうち雨天と酷暑の両方にアプリが対応しているのは、大手ではGOだけ。ディディとエスライドは雨天・酷暑時のライドシェア利用にアプリが対応していない。

 ディディは天気データとの連携を模索しているが、「開発には時間がかかる」(広報)という。ウーバーも雨天時については事実上未対応で、「短期間で時間枠の設定を変えたり、ドライバーを集めたりする必要があり、アプリとタクシー会社双方の負担が大きい」(広報)と説明する。

「突発」難しく

 ドライバー側の問題もある。6月からライドシェアの仕事を始めた30代男性は「1週間前には次の週の予定を決めてしまう。明日は雨だから働けないか、と言われても難しい」と話す。

 タクシー会社によると、副業などを抱えるドライバーは運行できる枠の中で目いっぱい予定を入れてしまう傾向がある。急な需要増加時にすぐに働ける人材は少ないという。「突発で働けるドライバーを増やしたいのなら、全ての時間帯で働けるようにすべきだ」。ドライバーからはそんな声も上がる。

 ただ、国交省は全ての時間帯でライドシェア車を運行できるようにすることには慎重だ。車が増えすぎてタクシーなどの労働条件が悪化することへの懸念が背景にある。規制緩和の効果については「アプリのシステムが追いついてくれば移動の足の確保が進む」(国交省旅客課)との見方を示す。

 日本版ライドシェアを巡っては、現行制度の改善で十分とする国交省と、抜本的な規制緩和が必要だとする政府の規制改革推進会議などで意見が割れている。自民党内にタクシー会社以外も参入する全面解禁を求める声もある中、今後の議論の行方は波乱含みと言えそうだ。

 ◆日本版ライドシェア=タクシー会社の運行管理の下で、一般ドライバーが自家用車を使って有償で客を送迎する制度。東京23区や京都市など全国21地域(8月11日時点)で運行されている。国交省は対象外の時間帯でも運行を認める規制緩和を7月(雨天時)と8月(酷暑時)に実施。「1時間に5ミリ以上の降水量」「気温35度以上」の予報がある時間帯などに運行できるようになった。

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