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水産物輸出の減 販路拡大の重要性が鮮明に

読売新聞 / 2024年9月2日 5時0分

 順調に伸びてきた農林水産物・食品の輸出が、中国向けの落ち込みにより、今年上半期は4年ぶりに減少した。販路を多角化する重要性を再確認し、対策を進めたい。

 今年1~6月の農林水産物・食品の輸出額は、前年同期比1・8%減の7013億円で、2020年以来のマイナスとなった。水産物が19・3%減の1661億円と不振が目立った。

 東京電力福島第一原子力発電所の処理水放出を受け、中国が昨年8月以降、日本産水産物の輸入を停止した影響が大きい。

 深刻な打撃を受けたのは、中国が最大の輸出先だったホタテ貝で約4割減の240億円だった。

 政府は、成長戦略として、輸出額を25年に2兆円、30年には5兆円へと伸ばす目標を掲げている。和食ブームの追い風を受け、通年では、昨年まで11年連続で増えてきただけに残念な結果だ。

 処理水の放出後も、多くの中国漁船が、日本周辺の公海でサンマ漁などを行っていることが確認されている。日本漁船が水揚げした魚を中国市場に出せないのは到底、理解できるものではない。

 日本政府は、引き続き中国政府に対し、不当な禁輸措置の撤廃を強く求めていくべきだ。

 中国の禁輸は、特定の国や地域に輸出先が偏るリスクを顕在化させたとも言える。販路を拡大する取り組みが重要になる。

 すでに政府と水産業者による協力で、ホタテの新たな販売先の開拓が一部奏功している。

 殻をむく設備の導入に政府が補助金を出すなどして、日本からホタテを中国以外に輸出する体制を強化した結果、米国向けが6割強増えたほか、ベトナムが7・9倍などと大幅に伸びた。

 メキシコに輸出して貝柱を取り出し、すしや刺し身といった生食用の高級食材として米国に出荷する計画もある。サプライチェーンの再構築も進めてほしい。

 日本産ホタテは、品質の高さに定評がある。海外への売り込みを強化したことは、その魅力を改めて発見してもらう契機にもなったのではないか。

 また、水産物以外で、コメや緑茶など順調に伸びている品目は多い。米欧だけでなく、高い成長が見込まれる東南アジアや中東などが有望な市場になる。本格回復している訪日客が、和食に親しむ機会を生かすことが大切だ。

 和食店などに偏る販路を、現地レストランやスーパーに広げることも有効な施策になろう。

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