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正しい仕事を思い切りできる会社に! ロピアの「人を活かす経営」未来像【インタビュー】

J-CASTニュース / 2024年9月1日 12時0分

正しい仕事を思い切りできる会社に! ロピアの「人を活かす経営」未来像【インタビュー】

浜野仁志さん、前川孝雄(左から)。ロピアを基幹事業とするOIC グループの会社ロゴ前にて

株式会社ロピアは、「100%売場主導」の事業部制を採用し、徹底的な現場への権限移譲を行い、社員の主体性重視の経営を進めている。その結果、3割が赤字(2023年11月、帝国データバンク)ともいわれる食品スーパー業界で、破竹の勢いで成長を遂げている。

人材育成支援を手掛ける、株式会社FeelWorks代表の前川孝雄さんが、ロピアの丸の内オフィスを訪問し、株式会社OICグループ経営戦略本部 本部長 兼 人事総務本部 本部長の浜野仁志さんに対談形式でインタビューを実施。同社の組織運営の背景にある経営理念、人を育て活かす考え方と仕組み、その成果と課題、今後の展望などについて、深く話を聞いた。

《お話し》浜野 仁志さん(株式会社OICグループ 経営戦略本部 本部長 兼 人事総務本部 本部長)《聴き手》前川 孝雄(株式会社FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)

年間MVP、好事例を社内で発表し合い共有する

<入社5年の若手を新規開拓エリアの事業部長に抜擢! ロピアがめざす100人の若手社長育成戦略とは【インタビュー】>の続きです。

前川 各店舗で優れた実績を上げた実践を、全社的に表彰したり共有したりするような場はあるのですか。

浜野さん 毎年3月に、チーフ以上の役職者全員が集合する場で、経営方針やグループ全体の活動についての発表会を行っています。
その中に年間MVPを発表したり、「店舗が変わるOIC話」と題して動画や本人のプレゼンによる優れた実践報告を行うコンテンツがあり、それらがスターを皆に紹介する場となっています。

前川 なるほど。そうしたハレの舞台に、組織内で成果を共有されているのですね。それは年に1度の場ですが、日頃、現場ではどのようにして自分たちの成果や働きがいを実感されているのでしょうか。

浜野さん 会社や同僚からの評価もあるでしょうが、それ以上に、自分たちが選んだ商品を自分たちの工夫で売り、お客様に喜んで買っていただけることに働きがいを得て、それを励みにさらに頑張ろうと思っているのではないでしょうか。
また、チーフは各店舗の営業数値を常に見ることができますから、自分の店の傾向や順位が分かります。「あの店の最近の売り上げはすごいな」「あの店のこの商品販売数は断トツだけど、どうやっているんだろう」など、他店の動きも刺激になり、チーフが自ら視察に行くこともあります。新店舗がオープンすると必ず紹介動画をつくり、社内で共有もしています。

前川さん 常に、自分自身の努力の成果を確認し実感できることと、他店からの刺激も受けることができるので、切磋琢磨できる環境があるということですね。

浜野さん 先日も、4泊5日のMVP研修旅行を実施し、私も引率同行しました。MVP受賞者40人で、バス1台を貸し切っての研修です。関東は2日間、関西と中国地方は1日、沖縄は2日のややハードな日程でしたが、無事多くのグループ会社を見学することができました。
調味料製造会社、醤油製造会社、惣菜製造会社、マンゴー農園などのほか、アキダイの店舗で秋葉社長から商いの心構えも語っていただきました。弊社の祖業である精肉店の面影を残す大船店では会社発祥の歴史を学んだり、ロピアという店舗のコンセプトが固まった綾瀬店ではロピアが出来ていくまでの歴史を学ぶ企画もありました。
MVP受賞者たちには、これらの学びを糧に、今後さらに活躍をしてもらいたいと思っています。M&Aで新しい会社にも多く参画いただいておりますのでグループがお客様に提供できる新たな価値も見出してもらえたら嬉しいです。このツアーにも新店紹介動画と同じ制作部隊が同行しましたので、研修の様子は社内で共有する予定です。

前川 まさに、お互いの現場から学び合い共振し合うことでさらにグループ全体の力をつけていく。現場主義を貫く御社ならではの、素晴らしい取り組みです。

自分の意志と責任で決める仕事の楽しさ

前川 私たちは人材育成の仕事を続けるなかでも、「働きがい」が最も重要だと考え、ずっとこだわり、啓発活動を行っています。ただ、「働きがい」というのは難しい概念で、一人ひとり異なるものです。
また、キャリアや個の自律といったテーマも今日関心を集めています。ですが、そのとらえ方も一人ひとり違います。
では、会社の側はそれらに折り合いをつけながら、今後どうあるべきか。いま、大きな過渡期にあると考えています。
そうした中で、浜野さんにとっての理想の会社像、また「社員が成長し、働きがいのある会社」とはどのようなものでしょうか。これからの魅力ある会社の条件とは何か、考えをお聞かせください。

浜野さん まさにOICグループやロピアが行っていることですが、責任をもって自分が決め、その結果が自分にフィードバックされる形をつくり上げていくことが大事ではないか。それがフェアな会社の姿だと考えています。
やらされている仕事というのは、つまらないものです。自分自身の体験で言いますと、前職以前のとある職場では、今は働き方改革で是正されていますが、毎日決まって夜10時まで会社に残るのが当たり前でした。自分がいかに効率的に仕事をしたとしても、その努力とは関係なく上司が決めた仕事が次々降ってきて、来る日も来る日もそれをこなさなければならない。それはとても苦痛でした。
今、OICグループに入り、取締役ということもありますが、仕事とプライベートの時間がシームレスになっていると感じます。朝早くに起き仕事の資料を作ったり、あちこち出張が続き、ほとんど休みがとれないこともあります。しかし、それが苦痛だとは感じません。自分の意志で選択し、自分が決めて行っている仕事なので嫌にならず、楽しめているのだと思います。

正しい仕事を思い切り素直にできることの幸せ

前川 浜野さんはトップ地方銀行からロピアに出向し、そのまま転身されたわけですが、そのきっかけや理由をお聴きできますか。

浜野さん 実は私は若手出向プロジェクトの第一号で、2年間でもとの職場に戻る条件だったので、転職することはかなり問題になりました。転職を決めたのも出向から半年でしたので。出向先を選んだ人事責任者は、内部で相当責められたと思います。私も頭取向けに退職理由を提出するよう言われました。

前川 それは、出向に出した職場にとっては一大事ですよね。どのように理由を書いたのですか。

浜野さん おおよそ、3つのことを書きました。主語が自分なので、今考えると青いのですが(笑)。
第1に、数年で支店や担当が変わる仕事はスポット的で、顧客企業との継続した関わりが持てないことです。もっと中長期的に事業や顧客に関わる仕事に就きたいと考えました。
第2は、自分のキャリア展望です。当時は35歳だったのですが、70歳までは何らかの形で働くとしたら、あと35年間はあるなと。ただ、ご存じの通り銀行員は引退が早いので、このままだと15年後の50歳で銀行員としては現役を引退。取引先企業の部長職などに出向し、第2の仕事人生で20年間過ごすことになる。
しかし率直に言って、第2の職場でも銀行員時代ほど熱意を持って、生き生きと働く自分は想像できませんでした。そのような職業人生が長いのは耐えられない。それなら、30歳台のうちに銀行員の経験も持ちつつ、異業種で経営にチャレンジするほうがキャリアの希少性も高まるし、豊かな人生が送れるのではないかと思ったのです。

前川 3つ目はいかがですか。

浜野さん 第3に、ロピアでの仕事がとても楽しかったことです。出向してほどなく行かせていただいた店舗研修で、お惣菜のお好み焼きを作ったときのことが今でも忘れられません。
自分が焼いた200円のお好み焼きを店頭に並べて、お客様が買ってくれた瞬間に、初めて自分が社会に価値を提供して認められた気持ちになり、とても嬉しかった。これがロピアでの原体験です。銀行員時代には200億円の融資案件を扱った経験もありましたが、その時にも感じられなかった喜びでした。
正直に言うと、もとの職場では「本当にお客様の役に立っているのか」と疑問を持ちながらこなしていた仕事もありました。しかし、ロピアでは、お客様に対して貢献することが、自分の成果や会社の成長につながる、会社とお客様のベクトルがきちんと合っている、そう感じました。

前川 200億円の仕事を動かすより、200円のお好み焼きのほうに、働きがいを感じたと(笑)。でも、とてもいいお話だし、よくわかります。お客様から直接いただく「ありがとう」こそがビジネスの本質だし、働きがいの原点ですね。
私たちも、大企業の優秀な若手離職者のインタビューを行いましたが、離職理由は同じでした。企業が掲げる綺麗な理念と現場の内向きな仕事とのギャップに嫌気がさして辞めていく声を、いくつも聴きました。ことZ世代の若者は敏感で、「言っていることと、やっていることが違う」と白けてしまうのですね。

浜野さん 本当にそうです。理念だけが上滑りしている感というのは、とても気持ちが悪いです。
その点、今の仕事はとても気持ちよくできています。よい商品を安く売ることや、お客様に喜んでいただき、感動してもらえることは純粋に楽しい。自分がよいと思えることを思い切り素直にやっていけるということは、とても心地よく幸せなことだと思っています。

前川 それでは最後に、これまでのお話の総括として、これからの御社の人材育成・活躍支援の展望についてお聞かせください。

浜野さん 弊社は、どこまでいっても理念やビジョンが最も重要だと思っています。弊社がダメになる時があるとすれば、理念が疎かになった時だと思います。ですので、今後はますますその共有と浸透を進めていくことが重要です。
今でも合宿研修や社内ツアーなどを行っていますが、さらによい方法も模索していきたいと思います。その一環として、理念をより噛み砕いて従業員の日々の言動にまで落とし込み、インナーブランディングを通じて社内外に積極的にOICグループの価値観を発信していくことも大切になると思っています。
そして何といっても大切なのは、「自分で選ぶこと」を徹底することです。
各店舗のチーフは自分で商品も売り方も決めるのですから、そのチーフになるためには、自分の成長目標や研修スタイルも自分で選んで決めたものでなければならない。研修にも強いられて参加するのではなく、自らの意志と意欲を持って、自分が成長したいがために参加して学ぶ。私たちはそのような人材をこそさらに力を入れて支援していきたいと考えています。

前川 今日は、ロピアとOICグループの急成長の根底にある人材育成について、示唆に富んだ話題、そして浜野さんご自身のご経験や信条まで、貴重なお話しをうかがうことができました。ありがとうございました。

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