1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

川上秀太「銅」、不自由な目で営業マンとの「二刀流」…仕事も陸上も「健常者に負けたくない」

読売新聞 / 2024年9月2日 5時36分

パリパラリンピックの陸上男子100メートル(視覚障害T13)で銅メダルを獲得した川上秀太(右)(1日)=ロイター

 パリパラリンピックの陸上は1日、男子100メートル(視覚障害T13)の決勝が行われ、川上秀太(25)が10秒80で銅メダルを獲得した。冠婚葬祭会社「アスピカ」の営業職としてフルタイムで働いてきた川上は、まさに「二刀流」のスプリンター。初出場でのメダル獲得に「狙っていた金メダルではなく悔しさもあるが、まずはメダルを取れて良かった」と安堵した表情を見せた。(デジタル編集部 池田亮)

 午前中の予選2組目に登場した川上は、10秒80で全体3番目のタイムで予選を通過。決勝は、スカンデルジャミル・アスマニ(アルジェリア)、サルムアゲゼ・カシャファリ(ノルウェー)の2人が序盤から抜け出し、川上とチャド・ペリス(オーストラリア)が3位を争う展開に。最後はペリスをわずか0秒005差でかわし、銅メダル獲得となった。

会社の看板背負い日本新、仕事もストイック

 小学生の時に交通事故に遭い、その後遺症で右目の視力が0・06、左目が0・03に低下し、両目の視野が欠けた。視力が悪くても「体ひとつで戦うことができる」と中学生で陸上を始めた。社会人になっても続けるその原動力は、「健常者に負けたくない」との反骨心。仕事も同僚に負けまいと努力でカバーした。

 職場では、互助会の新規会員を獲得する「営業マン」としてパラリンピック直前まで勤務。訪問先でパンフレットを開いて商品説明する時も、細かい文字が見えないため、必要な説明は事前に「丸暗記」。上司の田村明さん(27)は「目が不自由でもストイックに仕事をする姿に、アスリートとしての片りんを感じた」と舌を巻いた。

 一方の陸上は、母校・福井工大を卒業後も陸上部の練習に参加。夕方、仕事を終えて顔を出す川上は、学生と練習のタイミングが合わずに一人でメニューをこなすことも多かった。仕事が忙しかったり、走りに集中できなかったりした時に、内藤景監督(37)から「練習も仕事のうちではないのか」と喝を入れられ、妻からも「ちゃんと練習しなさいよ」と尻をたたかれた。

 大学時代に取り組んだウェートトレーニングで瞬発力が強化され、持ち味の中盤から終盤にかけての加速を身につけた川上。会社の「看板」を背負って走る責任感も芽生えた今年、世界選手権神戸大会で10秒70の日本記録を樹立して2位に入り、パリへの切符をつかんだ。

 レース後、川上は「金メダルを目指してきたので残念な気持ちが強い」と結果に納得がいかない様子。それでも「会社のみなさんにメダルを見せて感謝を伝えたい」と話した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください