1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

芦屋市長・高島崚輔さん「大人のアドバイス参考にならない」、東日本大震災で被災した高校生を見た衝撃

読売新聞 / 2024年9月6日 10時0分

体育祭で高校の生徒会長として旗を持つ高島さん

 名門・私立灘中学校に進学した兵庫県芦屋市長の高島崚輔さん(27)。3年に進級する直前の2011年3月11日に発生した東日本大震災に、大きく心を揺さぶられた。(中高生新聞編集室 真崎公美)

 「東日本大震災は、初めて目の当たりにした大規模な災害でした。『被災地のために何かしたい』と思ったけど、中学生には何もできないだろうという気持ちもありました。ちょうどその頃、生徒会の活動に関わり始め、3年のときに生徒会長になりました。生徒会では合唱コンクールの運営をしたり、校舎の改築に意見を出したりと、それはそれで楽しかったけど、やっぱり被災地の姿を見るべきだと考え、高校1年の8月、生徒会のメンバーで被災地を訪れました。

 宮城県南三陸町や 女川 おながわ町、福島県相馬市など被害の大きかった地域を中心にまわったのですが、現地の高校生が積極的に復興に たずさわっている姿に刺激を受けました。被災した温泉地を復興するため、温泉の熱を利用してフルーツを育てたり、震災で途絶えた海外との交流を復活させようとしていたり…。『こんなこと高校生でもできるんや』って驚きました。僕たちも被災地の高校生みたいに、もっと学校の外に出て地域と関わる活動をしようという話になり、小学校で防災などを学ぶ出前授業を行うことを思いつきました」

どうやって小学校に声をかけるべきかと思案を巡らしていた時、地元・大阪府 箕面 みのお 市の市長と面会できる機会が訪れた。

 「生徒会の活動とは別に、高1の11月、高2の先輩とペアを組んで『模擬国連』の全国大会に出場し、最優秀賞を受賞しました。それで、当時の倉田哲郎市長を表敬訪問できることになったんです。職員さんにお願いして市長との 懇談 こんだんの時間を長めに取ってもらい、出前授業について相談したところ、教育長の紹介で、小学校での出前授業ができることになりました。

 高2の6月に高校の生徒会長になり、生徒会のメンバーと共に箕面市内の小学校に出向いて出前授業をやり、その後は神戸市内の学校にも活動を広げました。あのとき、倉田市長が高校生だった僕の話にしっかり耳を傾けてくれたことが印象に残っていて、僕自身も今は、できるだけ子どもたちのリクエストに応えたいと思っています。誰からも気軽に声をかけてもらえる市長でありたいですね。倉田市長に色々と質問もさせてもらえて、市長の仕事は社会を変えられる面白そうな仕事だなと感じたのもこのときでした」

一方、模擬国連では世界大会にも出場し、優秀賞を受賞する。

 「模擬国連では、大会前に外交官の方に聞いた、『外交は、他者の窓から物事を見ることから始まる』という話が勉強になりました。これはまさに市長として重要な考え方でもあります。賛成が100、反対がゼロで決まる物事なんてありません。51対49で賛否が分かれるような話を意思決定しなければならない。そんなとき、49の側の考えをきちんと知ることが大切だと常々思っています。

 なんかこうしてしゃべっていると、市長と面会したり、模擬国連で政治に似たことを経験したり、市長への道まっしぐらに聞こえるかもしれませんが、全然そんなことはありません(笑)。中高生時代は特に将来の夢はなくて、ただ目の前に興味のあることが現れたら飛び込んで、一つ一つに全力で取り組みました。

 その過程では、今の自分に全くつながっていない出来事もたくさんあったけど、それはそれで良かったと思います。今から20年先の未来って予測できないですよね。だから、大人たちの経験に基づくアドバイスはたいてい参考にならない(笑)。だからこそ、自分が『やりたい』と感じる気持ちを信じて、とことんやり抜くことが大事だと思うんです。その頑張った経験は、将来何をするときにも通用するはずだから」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください